椅子のデザイン④ 革を用いた名作椅子

 

名作椅子と呼ばれるものは、様々なジャンルのものがたくさんあります。

今回は革を用いた椅子を、いくつかピックアップしてご紹介します

(以前の記事:椅子のデザイン①

  

サファリチェア

コーア・クリント

1933年 ルッド・ラムスッセン(カールハンセンアンドサン)

 

イギリス人がサバンナで狩猟活動を行う際に使用していた椅子を、クリントがリ・デザインした。移動を伴う生活で使用していたため、組み立て式(ノックダウン方式)となっている。イギリス軍隊の遠征用として開発され、工具を使わずに解体でき、コンパクトにまとめることができる。

オットマンも合わせてデザインされ、木、キャンバス地、革、真鍮の素材の組み合わせも美しい。

 

 

  

PK22

ポール・ケアホルム

 1956年 フリッツ・ハンセン

 

 

出典

PK22

2021年3月17日 新国立美術館にて筆者撮影 

 

ウェグナーの事務所で働きながら王立芸術アカデミーの夜間コースに通い、家具のデザインを学んだポール・ケアホルムは、フリッツ・ハンセンにて勤務ののちに、家具の製造と販売を手がけるE・コル・クリステンセンと出会う。ふたりで取り組んだスチール製の家具として56年に発表された最初のコレクションが" PK22 "。50年代のデンマークは、ウェグナーやフィン・ユールなどの木製家具が主流のであったが、ミラノ・トリエンナーレでも高評価を得た。

PK22は、ミース・ファン・デル・ローエの"バルセロナチェア "(1929年)をインスピレーション源としてデザインされた椅子。

スチールのフラットバーが2本、スチールの貫が2本、左右のスチールのフレームにレザーを張ったシートという5つの部材から構成される。革やスチールによるシンプルなラインは、素材の性質を見極め、よりミニマムに無駄を削ぎ落とすことで実現している。また、"チューゲンハットチェア "ブルーノチェア"から、それぞれ“ PK20 "" PK13 "をリデザインするなど、ケアホルムは敬愛するミースから多大な影響を受けている。 

 

 

キャブチェア

マリオ・ベリーニ

1977年 カッシーナ

 

椅子の一部として革を使用するのではなく、構造体に被せて包み込んだ椅子。このアイデアは、自転車のサドルから発想したと言われ、スプリングと衝撃を吸収する革との関係性を椅子のデザインに落とし込んだ。フレームと革によって作られる張力で、体にフィットする快適な座り心地が実現した。イタリアンモダンを象徴するマリオ・ベリーニは、1959年にミラノ工科大学建築科を卒業後、家具、照明器具、電化製品、自動車など様々な領域で活躍した。

 

  

イージーチェア 2204

ボーエ・モーエンセン

1971年 フレデリシア

 

背もたれが高く、囲い込むようにして周囲の音を遮断する「耳」と呼ばれるものがついた一人がけの大型安楽椅子として、イギリスのウィングバックチェアと似通っている。もともと暖炉の熱や風を遮るために「耳」がついたデザインが考えられたとされ、その「耳」と呼ばれるものが羽にも見えることからウィングの名がついた。ウィングバックチェアのリ・デザインは、モーエンセンの師であるコーア・クリントやウェグナーも行っているが、モーエンセンのものは現在も生産が続くヒット椅子である。

イギリスの伝統様式のものは、鋲打ちで、足もガブリオールレッグ、クラッシックで重厚感ある佇まいが特徴的だが、こちらのリ・デザインでは、さらにシンプルな形に落とし込み、北欧デザインらしい温かさが残る。シンプルなデザインだからこそ、革張りの作業は現在も手作業で行われる。

 

参考文献

『ストーリーのある50の名作椅子案内』萩原健太郎 , スペースシャワーネットワーク