温かみを感じる針葉樹パイン材を用いた家具、 その特徴とルーツについて

温かみを感じる針葉樹パイン材を用いた家具、 その特徴とルーツについて

明るい色味を活かしたパイン材の家具をよく見かけます。
前回の記事でも記したように、強度が必要な家具には広葉樹が扱われることが多いもの。
(前回の記事「テーブルの天板に使われる木材」)
なぜパイン材は針葉樹であるのに好まれるのでしょうか。
 
パインとはマツ科の針葉樹のことをいい、全部で数十種類もあるといわれています。主に木工で使用されるパイン材には5種類ほどで、中でも家具に用いられるものにホワイトパインがあります。
 
 

ホワイトパイン

 

産地

北アメリカ(カナダ、アメリカ合衆国、メキシコなど広い地域)
 

色味

薄茶色から淡赤褐色で、細く短い暗色の線が所々にみられる。
使用に伴って艶のあるあめ色に変化していく。
 

木理・肌目

通直な木理を持ち、肌目は均一であるが粗い。
パイン材の多くが早材と晩材( 以前の記事「木製家具の木目による違い」)の密度の差が激しいが、ホワイトパインは大きな差異がなく均一。節も他のパイン材ははっきりと出るが、ホワイトパインに関しては目立たない。
 

強度耐久性

強度的にも弱く耐久性も良いとは言えない。軽く軟らかい。
 

制作に関して

肌目が均一であるため加工しやすい。年輪も目立たず切削仕上がりも良い。
仕上げに関しても、ステインなどを多くのパイン類よりも易しく均一に塗布でき美しく仕上がる。
  
 
ホワイトパインは上に記したように柔らかい樹種で、家具に扱うには好まれない要素を持っています。しかし、柔らかさゆえに加工性が良く美しい装飾を施すことができたり、温かさや衝撃を吸収する効果を持つ、傷がつきやすいが修復も易いなど、魅力にもなっています。現在は長所としても扱われるこの特徴によって、昔はパイン材(特にはっきりと節の出る種)の家具は価値の低いものとして扱われた時代もあったといいます。今では、温かみある風合いや経年変化、軽さも現代の生活には適していて、好まれているのですね。
 
 
参考文献
『The Wood Handbook 木材活用ハンドブック』ガイアブックス