高級材として愛されながらも現在ほとんど出回らない、幻の木材マホガニー
高級素材として有名なマホガニー。
現在は希少な木材となっているためあまりみられませんが、どうして人気があるのか、どのような経緯で使われているのかなどを紹介します。
マホガニーの種類
マホガニーは、センダン科マホガニー族の木です。ウォルナットやチークとともに世界三代銘木と言われ、古くから人々に愛されてきました。家具には、15世紀〜16世紀ごろチークやウォルナットが主に使われていました。キューバンマホガニー(スパニッシュマホガニー)が西インド諸島から、後に中米や南米北部からもホンジュラスマホガニー(アメリカンマホガニー)が輸出されるようになり、さらに当時の自然災害によるウォールナットの減少や関税の撤廃なども影響したことで、人気が拡大していったといわれています。
キューバンマホガニー(別名:スパニッシュマホガニー)
滑らかで均一な肌目、美しい色や模様、安定しており加工が容易、優れた耐久性など、人々に愛される要素を全て備えたような木材。多彩な色が筋状に配列した明るい茶色は、経年変化で落ち着いた深みのある金褐色に変わっていく。1720年ごろから家具としても使われるようになり、その素晴らしさから人気を博します。それに伴い過去5世紀に渡って過剰に伐採されたために、ほぼ絶滅したといえる樹種である。現在このキューバンマホガニーを手に入れるには、かつて加工された古い家具の再生利用以外に方法はないとされる。
アメリカンマホガニー(別名:ホンジュラス、ブラジリアン、ビッグリーフ、トゥルーマホガニー)
キューバンマホガニーがほぼ絶滅に近い状況にある中で、唯一現在商業的に入手可能である本物のマホガニー。キューバンマホガニーと比べると、同じ桃色をしながらも、肌目と木理模様の均一さは劣る。また、木質が不定で木理も不均質で裂けやすいため、加工は難しいとされる。板目の木取りでは、炎のようにも見えるU字の模様が浮き出る特徴がある。杢には、フィドルバック杢、斑紋杢、ポメル杢、縞杢、渦巻杢など様々な模様を持つ場合があり美しい。アメリカンマホガニーはワシントン条約にも掲載され規制がかかっているために、認証された木材は入手困難である。価格帯はブラックチェリーやブラックウォルナットと同程度で取引される。
アフリカンマホガニー
同じセンダン科だがカヤ族であるアフリカンマホガニーは、高級で入手困難なホンジュラスマホガニーの代替材としてよく用いられる。本物のマホガニーと同じ色味をしており、安定しているが、肌目は中庸から粗で不均質であり、通直な木理の中に交錯した木理も有して加工が難しい。マホガニーという名前を持つ中では劣等なものの一つである。国際自然保護連合により応急種に挙げられており、広く入手可能とは言い難い木材。
マホガニーがこのような美しさや扱いやすさ、耐久性など人を惹きつける魅力を多く持っているにもかかわらず、現在みられない理由がわかりました。また、マホガニーによく似た樹種は存在するものの、それすら入手が難しくなってきているという状況もあります。不当に伐採された木材ではなく認証された木材のものを選択するなど、消費者としての判断にも責任を持つ必要があると改めて感じられます。
参考文献『The Wood Handbook 木材活用ハンドブック』ガイアブックス『【原色】木材加工面がわかる樹種辞典』誠文堂新光社