木材特有の模様を引き出す、透明塗装仕上げ6種

木材特有の模様を引き出す、透明塗装仕上げ6種

同じ木製材料で作られた家具でも、表面の仕上げ方法によって印象が異なる場合があります。表面の塗装は、傷や汚れなどからの保護や、着色や光沢感などの美しさの観点で木材に行う仕上げ方法です。
木部塗装には、木の模様が透けて目に見える「透明塗装」と、木地を塗りつぶす「不透明塗装」があります。今回は木の風合いを活かした仕上げである透明塗装(無着色透明仕上げ・着色透明仕上げ)についてご紹介します。
 
透明塗装は大きく「塗膜系」と「含浸系」の2つに分かれます。
 
 

塗膜系

ラッカーやウレタンなど、木部表面に塗膜をはる仕上げ方法。
 

・ラッカー仕上げ

ニトロセルロースという物質を主原料とした塗料で 、揮発性が高く乾くのが早い。
透明度が高く塗膜が薄いため、何度も塗り重ねることで木材の保護効果や柔らかな光沢がでる。
薄いためウレタン塗装と比べると、木の質感を感じとりやすい。
 

・ウレタン仕上げ

ポリウレタン樹脂を吹き付けて塗膜をはる方法。
塗膜はラッカー塗装のものより硬く厚いために汚れ、傷、水に強く耐久性が必要なテーブル天板などに使われる。
 

・UV仕上げ

紫外線で硬化する樹脂を表面に施す仕上げ。
透明度が高く艶のある雰囲気になる。
樹脂が硬いので塗り直しが難しい。
 
 
塗膜系塗装では、塗膜を張っているために木材の手触りや、温もり、香りなどが薄れますが汚れなどに比較的強いのが特徴です。
また、木材の水分による収縮も止めているので、反りや割れなどの変形が起こりにくくなります。光による経年変化のスピードも遅くなるので、購入時の状態を保ちやすい塗装方法です。メンテナンスに関して塗膜系塗装は、合成樹脂を吹き付けて塗装するので、自身で行う塗装メンテナンスは難しいとされています。
 

含浸系

オイル仕上げなど、木材に自然系のオイル(植物性で乾性のもの)や木材保護塗料をしみこませ、保湿や防腐などの効果を与える仕上げ方法。造膜しないために、木材の質感や、調湿の機能など木の風合いが残るのが特徴。
 

・オイル仕上げ

荏胡麻油など植物油を主成分としたオイルを浸透させる仕上げ方法。しっとりと濡れ色に仕上がる。日焼けもしやすいので経年変化がわかりやすい。
  

・蜜蝋ワックス仕上げ

蜜蝋(ミツバチの巣を溶かしたもの)を用いたワックス。単独で含浸系塗装、また塗膜系塗装の塗膜保護にも使われる。汚れや水分の浸透を防ぎ、革や木材の表面の保護をする。オイルに比べて浸透が少ないために、濡れ色になりにくく白い色味の木をそのまま活かしやすい。
  

・ソープ仕上げ

水に溶かした石鹸水を使った仕上げ方法。石鹸の油分が浸透し保湿したり、乾いた際に石鹸成分が表面に残り木材を保護する。さらりとした質感でオイルやワックスと比べても、白い色味の木材を活かす仕上げといえる。定期的にメンテナンスすることで効果が高まる。
 
含浸系塗装は造膜しないため、木の質感を活かすことができるのが特徴ですが、小傷や汚れ、水滴などの跡も付きやすいため、注意が必要です。
自身でのメンテナンスが可能で、多少の傷や汚れは削って補修できるのも含浸系ならではの利点です。メンテナンスを繰り返し行い、使い込むほどに味わい深い印象になってくるので、そこも楽しんでいただける塗装と言えます。
 
 
WELLで扱う家具の仕上げは、塗膜系塗装の「ウレタン仕上げ」、含浸系塗装の「オイル仕上げ」の2種類です。比較的水や傷に強く、艶のある雰囲気のウレタン仕上げで気軽に楽しむか、無垢材の手触りや変化を感じ、傷も愛しながら楽しむオイル仕上げか。どちらにも良さがありますので、ご自身のライフスタイルに合わせて気に入った仕上げを選んでみてくださいね。
 
 
参考文献
『改訂版 最高の家具をデザインする方法ー材料からプランニングディティ―ルまでー』エクスナレッジ

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