思い出残るダイニングテーブル
私の実家のダイニングテーブルは深いあめ色の木製で、幅2000mmほどの大きなサイズの6人掛け用、天板は長方形で二本脚のどっしりとしたタイプです。
子供ができて人数が増えても対応できる大きめのサイズ、長年使い続けられる強度という条件のもと、祖父が家を建てたときに購入しました。
家族での食事は品数のある料理が中心で、さらに祖母は幼かった私たち3兄弟が喧嘩をしないように、事前に小鉢に分けてくれていたので、大きな天板が目一杯活かされていました。8人で住んでいた時期には、テーブルを囲むように側面部分も使って食事をしていました。また、食事の時間以外は姉弟と共に宿題をしたり、絵を描いたりとデスクとしての用途もこなしたり、家族全員が席に着ける唯一の空間として団らんの場になったりと、様々な用途に活用されています。 ゆったりとした幅感は使い勝手の面で後々重要なポイントとなっていました。
しっかりとした大きさがありながらも二本脚で出入りがしやすいデザインは、通路を圧迫したり、横並びに3人が席に着くことで椅子を引きづらいというような欠点を見えないようにしてくれ、私の家庭にフィットしているように感じます。
私が生まれるずっと前から家族ひとりひとりと毎日ふれあい、生活を支え見守ってくれた存在は、家そのもののほかにはあのダイニングテーブルだけです。私自身ふと家族とのことを振り返ると、そこで起こったことが多く思い出されます。母に悩みを相談したこと、父を無視したこと、祖父にメールの送り方を教えたこと、祖母と愚痴を言いながら3時のおやつをしたこと、姉弟と進路の話をしたこと、些細な事で笑いが止まらなくなってお味噌汁を吹いたこと、早朝のまだ暗い時間に起きてテスト勉強をしたこと、大学の課題が終わらず徹夜をしたこと、思い返せばテーブル上で起こった思い出が沢山あります。きっと私だけでなく、家族皆それぞれがそこで過ごした時間を大切にしていると思います。
現在は私も実家を離れましたが、そのダイニングテーブルは購入から30年以上経った今でもどっしりと構え、家庭の中心で活躍しています。
食事、家族で団らん、書き物など、目的や使用方法、人や家族、暮らし方によってそれぞれですが、日々の生活に寄り添い長く付き合える家具、その一つがダイニングテーブルです。
デザインや機能と共に、家族での食事やコミュニケーションが思い出深く残る我が家のダイニングテーブル 。別の場所で一人暮らしを始めた今、一人での生活に違和感なく馴染み、そこで過ごすと落ち着けるようなテーブルにもこれから出会いたいと思っています。