WELL LIFE:グレーな状態を楽しむ

WELL LIFE:グレーな状態を楽しむ

歳を重ね、グレーな状態を楽しめるようになった。

 

20代までは、白、黒はっきりした考え方は、潔くてかっこ良いと思っていた。白、黒はっきりした物事はシンプルで力強く、記号的な事から寄り掛かると楽で、当時はその魔力に引き込まれていたようだ。よく友人や同僚と自己顕示欲を満たす為に激論を交わしていた。

 

当たり前だけど、世の中には両端の物事は存在せず、あらゆる物事は両端の間の濃淡の中に存在している。今までの経験から、強いメッセージや、記号的なものを選択してあまり良い事がなかったため、ワンクッションを置くようになった。何より、そういった物事では単純過ぎて、満足できない自分がいる。

 

グレーな状態を楽しむ為には、俯瞰で物事を観察し文脈を捉える習慣と、考え続ける為の体力が必要だと思う。

ただ、俯瞰で物事を捉えるのは年々難しくなっているように感じる。それは生活必需品になったスマートフォンに表示される、SNSや検索のアルゴリズムが、スクリーンから目を離さないよう閲覧者の興味がある事をタイミング良く表示するようになっていて、閲覧時間が長い程、アルゴリズムの精度が上がっていくようだ。その辺りはNETFLIXの“監視資本主義デジタル社会がもたらす光と影”を観るとよく分かる。

 

自分自身にとって、社会にとってより良い選択をするためには、思考が蛸壷化しない事に対して意識的になり、普段あまり興味がなかった事にも目を向ける必要があると感じる。グレーな状態は、何よりも平和な感じがしていて気に入っている。

 

Yuichi M