ダイニングテーブルの食卓を彩る器の素材
朝昼晩、ご飯を食べるダイニングテーブル。
盛られた料理のサラダの緑、お肉の焼き色、刺身などの透明感など、食材の色や食事の種類によって彩りを引き立てる器。器の質感によって見え方が変わる器は、今ではアクセサリーやポプリを入れるなど、インテリアとしても存在感があります。そんな器の素材には、どのようなものがあるかご紹介します。
器は、その素材や製造方法によって、違う味わいがあり、同じ産地の器でも焼く温度や釉薬によってさまざまな個性を出すため、多くの種類があります。
陶器
土や粉末状の鉱物を練って形をつくり、素焼きをした後、釉薬を付けてさらに焼く時に比較的低温で焼くもの。
多孔質でやや吸水性があり、叩くと低い音がします。
日本では、信楽焼、萩焼、備前焼など。
信楽焼と備前焼は日本六古窯の一つ。滋賀県信楽町が産地の信楽焼は、細かな石粒が含まれ、素朴だけど力強い風合いが特徴の焼き物です。備前焼は岡山県備前市の焼き物。赤みの強い土の風合いに存在感があります。萩焼は、古くから茶人好みを焼いてきたことで知られる山口県萩市の焼き物です。
磁器
土や粉末状の鉱物を練って形をつくり、素焼きをした後、釉薬を付けてさらに焼く時に比較的高温で焼くもの。
ガラス質で吸水性がなく、透明度の高い白色になります。
叩くと金属のような澄んだ音がします。
日本では、伊万里焼、九谷焼など。
九谷焼は石川県が産地の焼き物で、独特の絵付けと色合いが美しい豪華さがあるのが特徴です。
半磁器
せっ器とも呼ばれる、陶器と磁器の中間的な焼き物のことです。
釉薬をかけるものとかけないものがあり。磁器に近い素地できめが細かく吸水性はほとんどありませんが、磁器のような透光度はほとんどありません。陶器よりも強度があり、磁器を作るときよりも低温で焼くため、磁器よりも製造が容易で大きな器なども作ることができます。
食器の他に、火鉢、工業用の器物などを作るときにも適した製造方法です。
日本では、日前夜き、信楽焼などの中に分類されるものがあります。
漆器
木や竹、紙などに漆を塗った東洋の工芸品です。配膳の盆や汁物椀によく使われます。
漆絵のひとつ、蒔絵(まきえ)は漆で模様を描き、乾かないうちに金粉や銀粉をまき、研いだり磨いたりすることで模様を作りあげる日本独自の技法です。
日本では、輪島塗りが有名です。
石川県輪島市が代表的な産地な輪島塗りは下地を何層も厚くした丈夫な塗り方が特徴の塗り物です。
ガラス
ガラス製のコップ、グラスが代表的な食器。グラス以外にも、お皿やボウルなどもあり、さまざまな食事のシーンで使われます。ガラスの加工には、カットグラスという日本では切子と呼ばれるものがあり、透明のガラスや色ガラスを被せた生地にさまざまなパターンに切り込みを入れて模様を作る技法があります。江戸切子、薩摩切子が有名です。
さまざまな素材がある器で特に食器の種類が多いのが和食器。和食の繊細さや風流な世界をつくるために用途や料理の種類によって数多く分けられているそうです。
器の素材から盛り付けたい料理、つくりたい雰囲気をイメージしたり、大好きなものが綺麗に見えると格別に美味しくなったりして、幸せな時間が増える奥が深い器の世界です。
参考文献
赤松陽子『色と暮らしを豊かにするデザイン』, 株式会社ビー・エヌ・エヌ, 2019年2月
一般社団法人日本フードライセンス国際協会『フードスタイリスト検定教本2・3級』, 書肆侃侃房, 2014年1月