青と赤のあみだくじ

青と赤のあみだくじ

駒沢大学駅から玉川通りを歩いて左に曲がる。あとは一直線。だけど、大通りの一本道は、あまり好きではない。淡々と変わらない景色に飽きてしまう。通りに沿って歩くだけ。一本道を進むだけ。あとは、道をまっすぐ進むだけ。そのまま行けばいいのに、ちょこっと遊びたくなるのが好奇心。だって、対向車の方も気になるんだもの。

 

青信号の方向に進むことにしよう。思い付きのルールに従って歩く。信号を渡り、次の信号を右に、その次の信号を左に渡る。まるで、2本のあみだくじのように。気になるお店が反対にあっても、それは仕方がないことだと受け入れて前に進む。

 

着いた時には、汗だくで呼吸も乱れていた。

 

そうしたことを話してみると「いきものがかりの歌詞みたいですね」と弾んだ口調の言葉が、素敵なことをしたかのようにしてくれた。加えて「青信号に価値があったかもしれないですね」とも。ストンと落ちたボールが、ぴったりハマった感覚。進むことを良しとする自分の価値観に気付く。前に進みたい。赤信号で待ちたくない。そんな心理が根っこにあるんだと思う。

 

帰りは赤色に立ち止まってみる。この時間がちょっともどかしい。でも、止まることで呼吸を整えられる。一つに焦点を当てて、見ることができる。車が交差する道路、その先に待っている人たち、雲の流れる速さ。いくつものレイヤーが作り出す景色を見て過ごす時間は、歩きながら考えたこと、今とこれからのことをじんわり、ゆっくりと自分に染み込ませるものだった。

 

Yuka.N