今治市のタオルメーカー上脇さんの魅力 糸から織るタオル
WELLで取り扱う「ウェストインディアンシーアイランド(西印度産海島綿)」のタオルは、愛媛県今治市にあるタオルメーカー 株式会社上脇(以下、上脇さん)で製織されています。
上脇さんは、タオル産地の今治で誕生して以来、時代の変化と共にタオルの生産を続けながら、自社で技術開発にも取り組まれ、今治タオル産地を支えてこられました。
それは「事業は人なり」というように、取引先様はもちろん仕入先・従業員・外部協力者(ステークホルダー)の方々と、お互いに本音を語り、人を大切にし、そこから生まれるアイデアから、新しい夢が実現するという、できないことを自らできるようにする挑戦力があると感じます。
現在はジャガード織の製織を主に、今治タオルブランド・オーガニックタオルをはじめ、ブランドやアーティストさんのグッズ・ノベルティーなどのタオル製品を作られています。
その実績は、50年以上の歴史から培った柔軟な発想、要望を叶えられる技術力から、多くの企業や著名人から信頼されるものづくりをされています。(今治タオル工業組合員企業番号:3630)
一言で「タオルを織る」といっても、1枚のタオルが出来るまでにさまざまな工程があります。糸の不純物を取り除き、今治市のタオル作りの特徴である先晒し先染めをした後、機械にセットする糸を用意・製織・糊抜き・乾燥・縫製していきます。
糸からタオルが織られるまで。上脇さんの工場を見ながら、どのようにタオルが織られていくのかをご紹介していきます。
経糸と緯糸の準備
染工所で染められた糸は、チーズと呼ばれる糸の塊になって上脇さんに届きます。
その糸を機械に設置するために必要な長さに巻き取っていきます。
別々のループ状のパイルを織るのに使われるジャガード織機は、経糸と緯糸のそれぞれが機械によってコントロールされて、織られます。
機械に設置するために必要な幅・タオルに必要な長さを、地経糸は「経糸ビーム」に、パイル経糸は「パイルビーム」に、緯糸は「緯糸ボビン」に巻き取ります。
地経糸は糊付けをし、糸をパリパリにしていきます。
パリパリの糸は、毛羽を抑えることができ、織機のシャトルがスムーズに動きます。糊付けの方法に、糸の塊(チーズ:)をそのまま浸す方法もありますが、上脇さんではサイジング機を使い、一本ずつ糊付けしていきます。
均一でムラなく付けることで、甘い撚りの糸や、毛羽の多い糸でも織ることができ、幅広い質のいいタオルづくりができます。
ところで、糸を準備する際に、1~3%ほど長さに余裕を持って巻き取ります。
織り終わると同じくらい余った糸は「残糸整理機」に掛け、染色や糸の種類によって緯糸に再利用されます。
織りの機械
上脇さんの工場には、ループ状にパイル地を作りながら柄を付けるジャガード織機、早いスピードで織るシャトル機など、豊富な数の織機があります。
シャトルのスピードは織機のエンジンによって違く、大体、1分で300~500回の速さで緯糸が織られていきます。糸の強度によって機械を使い分け、ポリエステルだと約1000回/分、綿だと500回/分までできるとおっしゃっていました。
ただ、シャトルが飛ぶ速さによって織りの密度が変わり、強すぎても目が詰まってしまい、機械の故障になることもあるそうなので、バランスが難しい側面も。
完成されるタオルの風合い、綿と機械の相性のバランスを考えながら調整し、質の高いタオルが完成するのは、多くの繊維、デザインをされた長年の豊富な経験があるからだと言えます。
タオルを1枚ずつ織るのではなく、複数枚が取れる大きな生地を作ります。そこからおおよそタオルは3〜4枚、フェイスタオルは6~8枚ほどです。織りが終わった大きな布は、経糸の糊を落とすために洗浄・乾燥され、裁断・縫製をしていきます。