見た目の印象や使用感を大きく変える、 椅子の張地の分類

見た目の印象や使用感を大きく変える、 椅子の張地の分類

椅子張りは、上張り材、クッション材、衝撃吸収材などによって構成されています(椅子の構造について:「椅子のつくり」)。

 

今回は椅子表面仕上げ材のである上張り材について、織物、編物、皮革、その他の分類でみていきます。

 

 
 

織物

経糸と横糸を直線に並べ、交差させてできる布を織物、または布帛といいます。その中でも上張り材に用いられる織物として、ノンパイル織物とパイル織物の2種類に分けられます。

 

ノンパイル織物

布の表面を毛羽立たせない織り方のことをいい、以下のような織物が挙げられます。

緞子(どんす)

繻子織、朱子織(しゅすおり)の織物で、裏組織で模様を出したもの。繻子織りは平織や、綾織と並んで、織物の三元組織といわれており、経糸か緯糸どちらかのみが表に合わられるような織り方です。一般的には、経糸と緯糸を5本以上で仕上げるため厚地で端正な風合いを出し、シルクのような滑らかさのある高級感あります。クラシック家具などで用いられます。

ゴブラン織

歴史が深い手織りの高級織物の一つ。古代アジアやエジプトに起源を持っているとされるつづれ織(経糸を見えないようにし、緯糸で模様を描く織り方)に起源を持っています。

メルトン

紡毛糸による平織や綾織を縮絨し、起毛加工を施したもの。柔らかな質感の厚手に仕上がり、保温性があるためコートなどにも用いられます。

ホースヘア(馬巣織り)

馬の尾とたてがみの毛による織物。ヴィクトリア時代に最も流行したもので、硬く丈夫なため家具の張地にも用いられました。現在でも高級素材として、バックなどに用いられています。

 

パイル織物

経糸緯糸とは別の糸を織り込み、輪状に布状に出したパイルのあるもの。

ベルベット(ビロード)

絹、レーヨン、合成繊維などの経糸をパイル織とし、表地のパイルをカットして表面を毛羽立たせたもの(カットパイル)。豪華なボリューム感や美しい光沢感が特徴的です。

コーデュロイ(コール天)

綿を材料とした厚手の生地。緯糸のパイルをカットすることで、畝が特徴的な模様となって現れます。

モケット

パイルに羊毛系や化繊系を用いた、経糸パイルの織物。短く緻密なパイルを持ち、電車のシートなどにも用いられています。

金華山

カットパイルとループパイルを組み合わせた立体的な表面によって、文様を出す織物。加工が難しい高級品とされています。

テレンプ

パイルの経糸にモヘヤ糸を用いたもの。

  

 

編物

編み物の中でもジャージートリコットなど、織物状のものが用いられています。生地に伸縮性があるため、丸みの多い形の椅子に縁無しで張る場合に多く用いられています。

 

 

皮革

天然皮革

腐敗や硬化を防ぐために、なめし加工が施された皮革。一般的には牛革が使われ、豚、馬、羊、山羊、鹿なども用いられています。吸放湿性、堅牢性、柔軟性、染色装飾性にも優れています。

 

合成皮革

塩化ビニル系(ビニルレザー)、発泡性ポリウレタンを使用したウレタン系、ナイロンを使用したポリアミド系など、プラスチックなどを用いた人工皮革。

 

その他

上記の他に、ペーパーコード(紙紐)や植物の葉を撚ったコードなどによるコード張り、ヤシ科の蔓性植物である籐を用いた籐張り、ゴムベルトをそのまま仕上げとしたテープ張りなどがあります。

 

 

  

張地の選択は、椅子の大きな部分を占め、座り心地だけではなく見た目の印象も大きく左右します。

色柄に加えて、どのような使用感かなども吟味して決められると良いかと思います。

 

 

参考文献 『インテリアコーディネーター1次試験合格教本第11版下巻』ハウジングエージェンシー出版事業部