子供の自己教育力を唱えた教育法を考案したマリア・モンテッソーリ

子供の自己教育力を唱えた教育法を考案したマリア・モンテッソーリ

モンテッソーリ教育を開発した、マリア・モンテッソーリ。

自分を育てる力「自己教育力」を子どもたちに備わっていることを前提にしたモンテッソーリ教育は、「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てること」を目的としています。

日本でも将棋の藤井聡太さん、卓球の石川佳純さん、他の有名人が受けてきたと聞きます。

その教育方法を開発したマリア・モンテッソーリ、モンテッソーリ教育の概要を見ていきましょう。

 

マリア・モンテッソーリについて

イタリアの中部、マルケ州キアラヴァッレに生まれました。

彼女は、イタリアで初めての女子医学博士、幼児教育者、科学者という多彩な一面をもつ人物です。

1904〜08年にローマ大学教育学部で教育人類学を講義してきました。

1907年には、貧困層の健常児を対象とした保育施設「子どもの家」を設立し、その独特な教育法を完成させました。それ以後、モンテッソーリ教育を実施する施設は「子どもの家」と呼ばれるようになります。

 

モンテッソーリ教育の概要

0~6歳の間にそれぞれの時期・発達段階によってそれぞれ違う感性を培う「敏感期」には、子供の自己教育力を引き出すための「整えられた環境」が必要と言われています。

整えられた環境とは、適切なコミュニケーションで導く人(人的環境)がおり、赤ちゃんから子供たちが使える道具が揃った(物的環境)空間のことです。

特にモンテッソーリ教育では、人的環境をとても重要視してます。

というのも、導く人として、大声で指示を出したりせず、控えめで子どもが必要なときだけ援助をする存在であり、また、なんでも吸収してしまう幼児期の子供たちにとって、自分自身も環境の一部という自覚を持つ客観的な視点も持ち合わせることが大事だからです。

 

物的な環境も、もちろん重要です。

子供たちが好きなことを選び、好きなだけ繰り返すことを許される環境作りをするということです。

その物的環境を整えるのに、1)子供サイズ、2)魅力的な本物、3)秩序ある空間をポイントに上げています。

 

1)大きさ・重さ・形などを子供のサイズに合わせること

普通の環境はすべてが大人仕様のため、子供にとっては巨人の国に放り込まれたようなもので自分で扱えないものばかりです。子供の目線に立っていろいろな観点から確認しましょう。

 

2)材質・感触・使い勝手といった本物の魅力的なものを使うこと

小さいサイズといってもミニチュアやおままごとではあんく、本物でああることが重要です。汚れの目立たない黒っぽいものより、明るく美しい色合い。

壊れないプラスチックばかりではなく、なるべく木製の自然素材や、陶器、ガラスなどの割れるもの。

本物を使うことで、子どもは感触を楽しみ、丁寧に大切に扱うことを覚えるのです。

 

3)整理整頓された、清潔感と秩序ある空間

ずべてが決まった置き場所にあり、出しやすく戻しやすいことが重要です。

秩序のある環境は、子どもは戻すことを楽しみながら行います。

 

敏感期とは

あることに対して特別に情熱を燃やして関わる短い限られた時期を「敏感期」と言います。

オランダの生物学者ド・フリークス(1848~1935)が発見しました。

すべての生物は幼少期に、自分の将来に必要なことのために「あること」への感受性が非常に敏感になり、それを環境の中に見つけだし、強烈に関わっていく特別の短い時期のことです。

 

敏感期というのは、発育のうちにすなわと生き物の幼児期に現れる特別敏感な状態のことであります。それは一時的のもので、その生物に一定の能力を獲得させるのに役立つだけです。それがすめば、その敏感な状態は消えます。それでどの特性も、一つの衝動に基づく限られた期間に発達します。

 

モンテッソーリ教育でいう「敏感期」とは、子供が周囲の大人の力を借りずに、自分で取り組み達成したいと思う事柄・時期のことで、生後0歳〜6歳ごろを指します。

いろいろな特徴・その時期にだけ現れる子供の強い願望や傾向を知っておくと、子供が成長してく過程を上手に見守ることができ、見方が変わると言われています。

 

それぞれの「敏感期」

モンテッソーリが発見した敏感期は次のとおりです。

 

1)運動(0歳〜2歳半 / 2歳半〜4歳半)

・基本的な動きを獲得する。
・獲得いた動きを自分で調整、洗練させていく

 

2)秩序(0歳〜4歳)
・順序・場所・所有・習慣などが狂うと嫌がる
・秩序感は知性の働きへとつながる大切な感受性

 

3)感覚(0歳〜2歳半 / 2歳半〜5歳)

・五感を働かせて印象を丸ごと吸収する
・印象を整理して、五感を洗練させる

 

4)言語

-1:話し言葉=音声(胎児期〜6歳)
・環境にある言語を丸ごと吸収できる

 

-2:書き言葉=文字(3歳〜5歳 / 4歳〜6歳)

・文字を書くことが大好き
・文字を読んで理解することが大好き

 

5)数(4歳〜6歳)

・身の周りにある数的なものに興味を持つ。
・特に数えることに熱中する

 

6)文化(6歳前後〜)

・想像力が発達し、より広い世界へ関心が向く

 

参考文献

田中昌子(2018) .『マンガでやさしくわかるモンテッソーリ教育』.日本能率協会マネジメントセンター.

相良敦子(2013) .『お母さんの「敏感機」モンテッソーリ教育は子を育てる、親を育てる』.文藝春秋.