陶器と磁器の違いとその工程、2種類の焼成方法

陶器と磁器の違いとその工程、2種類の焼成方法

ダイニングテーブルを彩る器の販売にあたって、そもそも陶磁器とは何かを改めて調べることにしました。

 

陶器と磁器とは

「陶磁器」とは、一般的に陶器と磁器のことを言います。また、広義の意味として、炻器(せっき)や土器も含めた焼物の総称として使う場合もあります。

陶器と磁器の違いについて、大きくは材料の違いが挙げられます。それに付随して、工程や完成した焼物の特性が違ってきます。

 

材料の違い

陶磁器は、どちらも主に長石、珪石(石英を主体とした珪化物)、粘土によって構成されますが、その割合と粘土の種類に違いが見られます。

「土もの」とも呼ばれる陶器は、土由来の粘土の配合量が多く、「石もの」とも呼ばれる磁器は、ガラス質となる長石と珪石の割合が多いことが特徴的です。

また、陶器で用いられる粘土は、鉄分を多く含み、植物の根や葉、微生物の死骸などの有機物を多く含んでいます。磁器では、陶器と比べて長石と珪石が多く配合されるうえに、鉄分の少ない粘土が用いられています。

 

本体は、衝撃や湿気に弱い粘土を主成分とし、その弱点をガラス質の釉薬によってカバーしているのが陶器。それよりもガラス化を進めて、全体をよりガラス質(長石や珪石)の成分で構成しているのが磁器といえます。

 

特質の違い

粘土とガラス質(長石と珪石)の配合割合と、その成分の違いによって、陶器と磁器には異なる特質が現れます。

土ものの陶器は、鉄分が多いこと、多孔質であることから特徴が現れます。それに対して、石ものと呼ばれる磁器は、ガラス質成分が多いことでまた異なる特徴がみられます。

 

陶器:鉄分やその他不純物を含む粘土(陶石やカオチン)の割合が多く、素の状態でも色がつく。
磁器:粘土の割合が少なく、ガラス質(長石・珪石)の割合が多いため、白い。

 

  • 重さ・硬度

陶器:多孔質で、軽く柔らかい。音を鳴らすと、鈍い音。
磁器:気孔が少なく、硬く重い。音を鳴らすと、澄んだ音。

 

  • 吸水性・透光性

陶器:気孔があるため、水分や汚れを吸収しやすい。光は通さない。
磁器:水分や汚れは吸収しにくい。半透光性。

 

  • 熱伝導

陶器:空気をよく含むため、熱伝導率が低い。湯呑みなどにも適す。
磁器:熱伝導率が高い。熱い飲み物を淹れる場合、ティーカップなどのように取手がある方が使い勝手が良い。

 

 

  

工程

成形の後、陶磁器は、乾燥、素焼き、施薬、本焼き、窯出しの順序で作られます。「焼く」ことで、素地の分子同士を結んで焼き締めることで、密度や高度を高めています。今回は、素材作りと成形の後の流れを追っていきます。

 

乾燥

 成形後、焼成の際に水分が残っているとヒビが入ったり、割れたりする原因となりますので、乾燥させます。表面だけではなく、内側までしっかりと乾燥させるために、時間をかけてゆっくりと乾燥させる必要があります。また、一部が急速に乾燥したりすると、割れや歪みが起きます。全体を均一に乾燥させていく必要があります。

また、必要であれば、適度に乾燥が進んできた段階で、高台を削り出す・つける作業や、マグカップの取っ手をつけるなどの装飾を行います。

 

素焼き

乾燥の工程が済んだら、素焼きを行います。素焼きの工程は、残った水分の蒸発・不純物の燃焼、またある程度の強度がつくことによって、釉薬が美しく載せられるようになります。

一般的に陶器は600〜800度で行います。陶器と磁器はその材料の違いから、焼き工程に適した温度が異なり、磁器はさらに高温で焼きます。

 

絵付け・施薬

素焼き後、必要であれば絵付けを行い、施薬を行います。
陶器に関しては、装飾の意味だけではなく、ガラス質である釉薬をかけることで汚れや水に強くなる効果もあります。

 

本焼き

施薬後、本焼きの工程に入ります。粘土を素焼きと比べて高温で焼き締めることで、強度が増します。粘土や、使用した釉薬によっても適切な温度が変わってきますが、通常1200〜1300度で焼き上げます。窯も現在は薪窯、電気窯、灯油窯、ガス窯などの種類があります。

また、大きく分けて2種類の焼成方法があり、焼成方法によっても完成する陶磁器が異なってきます。粘土だけでなく、釉薬の反応も変わってくるのです。

・酸化焼成(Oxidation Flame)

酸素が十分にある状態で、燃料を完全燃焼させながら焼成する方法。金属成分と酸素が反応しやすい環境となります。

・還元焼成(Reduction Flame)

十分に酸素を与えず、窒息状態で焼き上げる方法。酸素が足りない状況のため、粘土や釉薬から酸素を奪い、還元反応が行われます。

   

窯出し

焼成の後、窯から陶磁器を出す際にも注意が必要です。
素地と釉薬の膨張と収縮の温度には差がありますが、それによって貫入が入ります。高温で焼いた後温度が下がっていくタイミングで入る直接貫入は、それを美しいとしてわざと引き出す場合もありますが、入れたくない場合は窯内の温度が常温になるまで蓋を開けないようにします。

 

 

陶磁器として形になる前に、土の採集、配合、練りなど、材料を作るところから始まり、成形後も時間と手間がかかる陶磁器。その違いも含めて、奥深いものであることが、改めて感じられます。