今さら聞けない近代建築の巨匠「ミース・ファン・デル・ローエ」

今さら聞けない近代建築の巨匠「ミース・ファン・デル・ローエ」

「レス・イズ・モア(より少ないことはより豊かなこと)」という有名な名言を提唱したのは、おしゃれでモダンな建築家&家具のデザイナーのミース・ファン・デル・ローエです。


彼の作品は洗練されていながらも近代的なものばかりで、「より少ないことはより豊かなこと」という言葉の真意が伝わってくるでしょう。


近代建築の巨匠として名を遺したミース・ファン・デル・ローエの活躍は凄まじく、彼が手掛けた邸宅は世界文化遺産に登録されました。それだけではなく、国王を迎え入れるためのチェアも設計したのです。


ではそんな偉人ミース・ファン・デル・ローエの魅力や彼の活躍について迫っていきましょう。

 

ユニヴァーサルスペースを作り上げたミース・ファン・デル・ローエとは?

ミースファンデルローエのフルネームは、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエといいます。

 

彼はル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライトと並ぶ「近代建築の三大巨匠」として世界に認められた偉大な建築家です。

 

ミース・ファン・デル・ローエは旧東京都庁舎でも採用された建築理念である、ユニヴァーサル(ユニバーサル)スペースを作り上げました。

 

ユニヴァーサルスペースとは、壁や柱などで空間を仕切ることなく自由に使える概念のことです。ユニヴァーサルスペースを取り入れたオフィスなどは、パーテーションで空間を適宜区切ることで、たとえ組織内で人員変動があったとしても臨機応変に対応できるようになりました。

 

このようにミース・ファン・デル・ローエは、建築業界に衝撃が走るような概念を生み出し、数多くの作品を残したのです。

 

彼の活動は建築だけにはとどまらず、椅子や記念碑も手掛けました。建築家だからこその視点で作った作品もまた、彼の大作ともいえる逸品です。

 

ミース・ファン・デル・ローエの歴史

1889年、日本とは別に温泉文化が栄えたドイツのアヘーンで、ミース・ファン・デル・ローエは生まれました。

 

ミース・ファン・デル・ローエの父は、墓石や暖炉を得意とした石工だったため、教育を受ける過程で専門的に建築を学ぶ機会はありませんでした。

 

ミース・ファン・デル・ローエは地元の職業訓練校で製図工を学び、事務所に漆喰装飾のデザイナーとして勤務したのです。

 

その後の彼は、ブルーノ・パウルの事務所に転職します。

 

その事務所の同僚の紹介により、ミース・ファン・デル・ローエがはじめて手掛けたリール邸がペーター・ベーレンスの目に留まりました。

 

そしてミース・ファン・デル・ローエは運よく、ペーター・ベーレンスの事務所に所属することができ、建築をより深く学ぶことに至りました。

 

その後1912年、ミース・ファン・デル・ローエは晴れて自身の事務所を開設し、翌年の1913年にはアダ・ブルーンとめでたく結婚したのです。

 

彼の華々しい活躍はそこからはじまります。

 

多くの名言や概念を残したミース・ファン・デル・ローエ

ミース・ファン・デル・ローエは “Less is more. /より少ないことはより豊かなこと” や “God is in the details. /神は細部に宿る” という、今となっては世界中で浸透している標語を生み出しました。

 

そんな彼だからこそモダンでありながらも無駄のないユニヴァーサルスペースのような建築概念を作り出したのです。

 

彼は今までの建築構造では必要だった柱や壁をなくし、広くて均一な空間のユニヴァーサルスペースを実現させたということから、ミース・ファン・デル・ローエがどれだけ「より少ないことはより豊かなこと」に情熱を注いでいるのかがわかることでしょう。

 

ミース・ファン・デル・ローエの情熱は建築業界だけではなく、家具業界をも驚かせました。彼はおしゃれでありながらも洗練されたチェアをデザインしたのです。

 

彼の作品を見れば、“Less is more.” や “神は細部に宿る” などの本当の意味が分かるのではないでしょうか。

 

近代建築の巨匠の才能が開花したきっかけ

ミース・ファン・デル・ローエの名が世に広まるきっかけとなったターニングポイントはいくつかあります。近代建築の巨匠とも呼ばれる彼の才能が花開いたきっかけについて迫っていきましょう。

 

ヴァイセンホーフ・ジードルングでの総監督

1926年にミースファンデルローエはドイツ工作連盟の副会長に任命されました。

 

そしてその翌年には、シュトゥットガルト郊外のヴァイセンホーフにて開催された、ドイツ工作連盟主催の住宅展覧会『ヴァイセンホーフ・ジードルング』で彼は総監督を務めたのです。

 

その際、全体の設計計画と、展覧会メインの集合住宅棟の設計ミース・ファン・デル・ローエが担いました。

 

そして彼の指揮のもと、17人の建築家が集まって21週間で21もの住宅を建築したのです。

 

この建築家のメンバーにはヴァルター・グロピウスやル・コルビュジエもいました。

 

この時からミース・ファン・デル・ローエの活躍は勢いを増していったのです。



バウハウスの三代目校長を務める

ミース・ファン・デル・ローエはグロピウスの推薦により、バウハウスの第3代校長を務めました。

 

バウハウスとは、主に美術や建築に関する教育を行う学校で、「バウハウス」とはドイツ語で「建築の家」を意味します。

 

しかし残念なことにもナチスによりバウハウスは閉鎖されてしまい、ミース・ファン・デル・ローエはアメリカに亡命しました。

 

彼はアメリカでも建築から離れることはなく、のちにイリノイ工科大学となるアーマー大学で主任教授として建築の授業を受け持ったのです。

 

ミース・ファン・デル・ローエの代表作2つ

ミース・ファン・デル・ローエは建築家として功績を残しただけでなく、家具のデザイナーとして魅力的な作品を残しました。その作品はどれも、建物とも相性の良いデザイン且つ機能的なものばかりです。

 

それでは、彼が残した魅力的な作品をみていきましょう。



バルセロナチェア

バルセロナチェアはゆったりと腰深く座れて、白い革張りのクッションが特徴的な椅子です。

この椅子はその名前にもある通り、バルセロナ万国博覧会の開会式典でスペイン国王夫妻を迎え入れる際にデザインされたものです。

 

国王が使用するのにも相応しいスタイリッシュさと上品さを兼ね備えた椅子です。

 

座るクッション部分は忠実に計算された正方形で、その細かな視点からみても、ミース・ファン・デル・ローエが「神は細部に宿る」と提唱した意味が見て取れます。

 

そしてこの椅子はミース・ファン・デル・ローエが設計した、通称「ドイツ館」と呼ばれる『バルセロナ・パビリオン』にも置いてあります。

 

また、オフィスやホテルなどでもバルセロナチェアを採用している企業もあります。



MRチェア

美しく曲線を描くパイプが特徴のMRチェアは、腰掛ける部分が牛革のものやランタン素材のものもあります。

 

「これ以上シンプルなチェアはない!」といっても過言ではない、その一切の無駄を省いたスマートなデザインは、どんなシーンにも馴染みやすく使い勝手が良いです。

 

この椅子は1927年にドイツのシュトゥットガルトで行われた住宅展覧会『ヴァイセンホーフ・ジードルング』で発表されました。この展覧会では建築と合わせて家具も発表されたのです。

 

パイプ椅子といえば冷たくて簡素なイメージですが、このミース・ファン・デル・ローエがデザインしたアーチ状の曲線美のある椅子は、パイプ椅子ながらもモダンなデザインで世間から注目を集めました。

 

悲しい歴史を持つ「トゥーゲントハット邸」

ミース・ファン・デル・ローエが設計した建築物は世界遺産にも登録されました。

 

その建物は実業家であるフリッツ・トゥーゲントハットと妻のアルフレダの設計依頼により、ミース・ファン・デル・ローエによって作られた邸宅『トゥーゲントハット邸』です。

 

トゥーゲントハット邸とはチェコスロバキアのブルノに建てられ、建設当時は傾斜があって市街地を見渡せる眺めの良い場所にあります。

 

この邸宅の特徴としては、部屋と部屋同士をあえて壁で区切らない、開放的で機能的な邸宅の作りであるところでしょう。リビングとその隣の庭の間は全面に大きな窓があり、部屋の中にいても太陽の光をたっぷりと感じることができます。

 

それだけではなく、邸宅に置かれている家具もミース・ファン・デル・ローエが手掛けていて、この邸宅に合うデザインで統一されているのです。

 

そんな素晴らしい邸宅ですが、トゥーゲントハット家が住んだ期間は八年足らずでした。無念にもナチスによるユダヤ人の迫害を受けて、トゥーゲントハット一家はスイスへと移住せざるを得ず、その後もこの邸宅に戻ることはできなかったのです。

 

そんな悲しい社会情勢を受けて、ドイツ軍によって荒らされた建物内は綺麗に修繕され、2001年に世界文化遺産に登録されました。

 

まとめ

今回は20世紀を代表する建築家のミース・ファン・デル・ローエの残した功績や、彼の生い立ちについて詳しくみていきました。

 

彼はモダニズム建築の理念のひとつであるユニヴァーサルスペースという概念を生み出し、その概念のもとに作られたトゥーゲントハット邸はユネスコ世界遺産に登録されたのです。

 

そんな建築関係の活動の傍ら、スペイン国王夫妻を迎え入れる際に作られたバルセロナチェアなどの家具の設計にも励みました。

 

それらの作品作りにおいて、「より少ないことはより豊かなこと」や「神は細部に宿る」などの考えを重んじていることも分かりました。

 

偉大なる建築家のひとり、ミース・ファン・デル・ローエの作品作りにおける情熱が感じ取れたのではないでしょうか。

 

【参考URL】

・ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ - Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%92%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%A8#%E5%AE%B6%E5%85%B7 

 

・バウハウス - Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%A6%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%B9 

 

・ミース・ファン・デル・ローエの名言 - 地球の名言 (earth-quote.org)

https://earth-quote.org/archives/1248



・建築家 ミース・ファン・デル・ローエを知ろう! ファンズワース邸など - SUMUKOTO.COM

https://sumukoto.com/architect-mies-van-der-rohe/

 

・USMとミース・ファン・デル・ローエ財団 | オフィス | USMモジュラーファニチャー

https://www.usm.com/ja-jp/commercial/about-usm/news/miesvanderrohe/



・モダニズム建築の巨匠 ミース・ファン・デル・ローエが 手掛けた3つの名作 | 暮らしをデザインするDesign House and U (アンド・ユー) | 静岡県浜松市 (designhouse-andu.com)

https://designhouse-andu.com/%E3%83%A2%E3%83%80%E3%83%8B%E3%82%BA%E3%83%A0%E5%BB%BA%E7%AF%89%E3%81%AE%E5%B7%A8%E5%8C%A0-%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%AD/



・近代建築の巨匠、ミース・ファン・デル・ローエのデザイナーズ家具 | デザイン家具ドットコムの特集ページ (designkagu.com)

https://designkagu.com/blog/miesvanderrohe-theme/



・バウハウスにも多大な貢献をした巨匠建築家「ミース・ファン・デル・ローエ」とは!? - #casa (hash-casa.com)

https://hash-casa.com/2019/06/13/miesvanderrohe/



・Ludwig Mies van der Rohe / ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ - インテリア・家具通販【FLYMEe】

https://flymee.jp/designer/ludwig-mies-van-der-rohe/



・アーヘンのおすすめ観光スポット6選 大聖堂や温泉に魅了されよう! | トラベルjp 旅行ガイド (travel.co.jp)

https://www.travel.co.jp/guide/matome/3089/



・ユニヴァーサル・スペース - Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%8B%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B9



・生涯一設計士・佐々木繁の日々:ミース と 1927年『シュトゥットガルト住宅展』 (livedoor.jp)

http://blog.livedoor.jp/shyougaiitisekkeisi2581/archives/50996792.html



・ミースとコルビュジエと実験住宅と – ADFウェブマガジン|ADF Web Magazine – 建築×アート×デザインのメディア情報ニュース

https://www.adfwebmagazine.jp/architect/mies-and-corbusier-and-with-the-experimental-house/#i



・Knoll(ノル) Mies.v.d.Rohe Collection バルセロナチェア ブラック | ラウンジチェア/他 | チェアの通販「ヤマギワオンラインストア」 (yamagiwa.co.jp)

https://shopping.yamagiwa.co.jp/Knoll(%E3%83%8E%E3%83%AB)+Mies%EF%BC%8Ev%EF%BC%8Ed%EF%BC%8ERohe+Collection+%E3%83%90%E3%83%AB%E3%82%BB%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%A2+%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF/product/0/481K-250LCRSE1/?cat=100003004&swrd=



・【名作家具シリーズ】計算されつくした『MRチェア』|ミース・ファン・デル・ローエ|の暮らし|Life Designs(ライフデザインズ)|東海の暮らしのウェブマガジン (life-designs.jp)

https://life-designs.jp/webmagazine/mrchair/



・トゥーゲントハット邸 - Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%8F%E3%83%83%E3%83%88%E9%82%B8



・(2ページ目)近代建築の巨匠がこだわりを貫いた チェコに立つ邸宅は必見の世界遺産 | 気になる世界の街角から (bunshun.jp)

https://crea.bunshun.jp/articles/-/8920?page=2



・ミース・ファン・デル・ローエのファンズワース邸~予算オーバーで恋人と揉めたガラス張り神殿住宅 (hokushinfudosan.co.jp)

https://www.hokushinfudosan.co.jp/column/ludwig-mies-van-der-rohe.html

 

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