照明の“明るさ”に注目して、快適な暮らし&居心地のよいお部屋づくりを
お気に入りのインテリアに囲まれた部屋なのに、なぜか居心地がイマイチ…と感じることはありませんか?
その原因は、お部屋の「明るさ」にあるかもしれません。
この記事では、シーンに合わせた明るさに着目し、適した照明の選び方をご紹介します。明るさの違いによる居心地の変化を知って、質の高い暮らしを手に入れるお手伝いをいたします。
意外な盲点、ライトの“明るさ”で作る理想の空間づくり
照明器具を選ぶ際、デザインに注目しがちですが、部屋の雰囲気をコントロールするには「明るさ」を考慮することがとても重要です。
明るさの決め手は、部屋の用途です。分かりやすい例で言えば、眠るためのベッドルームと仕事部屋では、必要な明るさが異なります。それぞれの部屋の役割や過ごし方を、具体的に考えてみましょう。
照明の設置場所に合わせて選ぶ
場所に合わせた明るさを選ぶことは、快適に過ごすためにも外せないポイントです。
また、明るさの強弱に加えて、照明器具を設置する高さも重要です。
同じ明るさでも、高さが40cm下にある方が、約10%程度明るくなります。同じ明るさでもシーリングライトとペンダントライトでは、光の届き方が異なるのです。
それでは、シーン別に適した具体的な明るさを検討してみましょう。
家族が集い応接室にもなるリビングルーム
家族が集い応接室にもなるリビングは、多くの方にとってたくさんの部屋を過ごすメインルームとなります。リビングの広さによって照明の数や種類をを決めましょう。
シーンによってリビングに求める役割も変化します。プライベートルームとして利用する場合は、のんびり寛げるムードが重要になり、応接間として活用したり打ち合わせを行う機会が多ければ、明るく清々しい雰囲気が望まれます。
リラックスシーンなら暖色系、活動シーンであれば寒色系と、調光・調色機能がある照明を選べば、そのときに応じて最適なライティングを選ぶことができます。いつでも家族が過ごしやすいリビングを目指してみましょう。
食卓を彩るダイニング
食卓を彩るダイニングの照明は、食事をきれいに見せる役割を担っています。
ペンダントライトを設置するなら、高さを考慮しましょう。同じ明るさでも高ければ柔らかく、低ければくっきり明るく食卓を照らします。食べ物が美味しく華やかに見える暖色系のライトがおすすめです。
広く大きな食卓なら複数個のライトを活用することで、どの席に座っても同じ明るさを保てます。
勉強や作業をする子ども部屋・書斎
勉強仕事がはかどる子ども部屋・書斎を作るためには、明るめの照明が適切です。作業への集中力を保つためには、青みがかった昼光色で緊張感を保ちましょう。暖色系だとリラックスして眠たくなり、作業が滞ってしまうことも。
部屋の全体に照明が行き渡るシーリングライトと、角度調節のできるデスク用のスタンド照明を組み合わせて、目の負担を和らげることもおすすめです。スポットライトには集中を促す効果も期待できます。
小さなお子様がいらっしゃる場合は特に、部屋全体が明るくなるよう照明を配置することで、どこにいても安全に過ごせるようにしましょう。
照明の色と明るさを意図的に選ぶことで、スムーズに進む環境を作りましょう。
毎日の食事を作るのに欠かせないキッチン
毎日の食事を作るため、出入りの多いキッチン照明は機能性に着目してみてはいかがでしょうか。
防水性があり、食品衛生の観点からも掃除のしやすいダウンライトやシーリングライトがおすすめです。全体照明と手元を照らす間接照明があると、作業もはかどるでしょう。
キッチンはあくまで作業をするところ。安全性や正確性を高めるために、はっきりと見える昼光色を選ぶのが適切です。
リラックスする場所や寝室
リラックスする場所や寝室は、光の調節ができるタイプがおすすめです。
リモコン付きであれば、ベッドの中でON/OFFができるので便利ですよ。
主照明以外は、直接目に光が入らないものを選びましょう。
睡眠時にまぶしいと感じると脳が活性化され、眠りを浅くします。また、夜中にトイレに行くときなどは、足元にセンサーライトがあれば安全に通れますね。
寝る前はリラックス効果が期待できる暖色系の灯りにしましょう。
昼光色になるとシャキっとしてしまってやはり眠りを浅くさせます。寝室はリラックス効果があるところにしたいですね。
清潔感のあふれるトイレ・洗面所
清潔感のあふれるトイレ・洗面所は使用しても気持ちが良いものですね。
トイレは狭い空間のため、壁に光が反射して、まぶしくなりがちです。
夜中に行って光のせいで頭が冴えてしまったり、まぶしさが苦手な方がいたりする場合は、少し暗めにしましょう。
洗面所は身だしなみを整えるところです。暖色系の色にするとお化粧をしたときと実際外に出たときで見え方にギャップがでてしまうケースもあります。そのため、自然な色に近い白色を選びたいですね。
また、湿気がたまりやすいのでカバーをして照明の劣化を抑えましょう。直接光が目に入らない効果も期待できますよ。
カビも抑えて清潔感のあるトイレ・洗面所を目指しませんか。
部屋の広さ×明るさの関係を考える
同じワット数の照明を使っても部屋の広さで感じる明るさは変わります。ここでは明るさの基準をあらわす単位と部屋の広さの関係を詳しくみていきましょう。
ワット(W)・ルーメン(lm)・ルクス(lx)の違い
ワットは厳密にいうと明るさをあらわす単位ではなく消費電力のことです。昔からある白熱電球の単位に使われていました。
LEDが普及すると光の量をあらわすルーメンが主流になりました。ワットで慣れ親しんだ私たちは、ルーメンと言われても、いまひとつ理解ができないために〇〇ワット相当で、ルーメンの明るさの目安を表示するようになりました。
また、ルーメンは照明器具そのものの明るさを示す単位で、ルクスは光に照らされた面の明るさを表す単位です。
ルーメンは線、ルクスは面の明るさを示していると言えば分かりやすいでしょうか。
部屋の大きさと明るさの目安
部屋の大きさに対してどれくらいが必要なのか、分かりやすく表にしました。
部屋の大きさ (畳) |
ワット数 (W) |
ルーメン数 (lm) |
4~6 |
100~180 |
1260~2270 |
6~8 |
180~260 |
2270~3280 |
8~10 |
260~340 |
3280~4280 |
10~12 |
340~420 |
4280~5300 |
12~14 |
420~500 |
5300~6300 |
14~16 |
500~580 |
6300~7300 |
16~18 |
580~660 |
7300~8310 |
20~22 |
660~740 |
8310~9320 |
表はあくまで目安にしましょう。調光できるタイプの照明器具なら明るさを細かく調節できるので、ぜひ活用してみてくださいね。
部屋での過ごし方・シーンを考える
同じ明るさの電球でも配光によって光の大きさが異なります。部屋全体を明るくするもの、一箇所に集中して光を当てるものなどさまざまです。
260度くらいに光を広げる全方向タイプは均一に照らすので、広範囲に活動するリビングに向いています。180度くらいの広配光タイプはダイニングやキッチン、玄関などに合いますね。せまい140度くらいの下方向を照らすスポットライトのようなメリハリのある光は、トイレや廊下に向いています。
子どもから高齢者までライフステージを考える
子どもから高齢者までライフステージを考えて照明の明るさを選ばなければなりません。
高齢者は光をとらえることが若年者に比べて難しいので、一般的にいわれている明るさの1.5倍〜2倍を目安に明るさを考えましょう。
しかし、反射などの光はまぶしく感じるので狭い場所は明るさを落とすこともあります。
子どもの視力は大人より変化しやすいので目の健康への配慮は大切です。薄暗いところでゲームやパソコンをしていると視力が下がりやすいので明るさを確保してあげましょう。
また、ライフステージを考えた明るさをとりいれましょう。本人と相談しながら調整するとより快適な空間を手に入れられそうですね。
蛍光灯 or 白熱灯、それともLEDライト?
電球の種類は大きく3つに分けられます。白熱電球・蛍光灯・LEDライト、それぞれの特徴をみていきましょう。
昔ながらの白熱灯
ガラスの中にフィラメントがあり、昔からある白熱灯。
安価で軽いという利点がある反面、寿命が短く発熱しやすいので夏場など暑い日などには不適切なことも。また電気代も高くつくため省エネは叶いません。
昔ながらの白熱灯は、ほかの電灯にはない光具合や演色性など、ならではの趣きがあります。これをインテリアとして使用するのも良い方法ですね。
LEDと白熱電球の中間的存在・蛍光灯
蛍光灯はLEDと白熱灯のちょうど中間的存在です。
比較的安価で光が全体的に広がりをみせます。電気代も白熱灯より安いですが、LEDには叶いません。じんわりと明るくなっていく特性を持ち、衝撃や振動に弱いというデメリットもあります。
また電球型の蛍光灯は点灯を繰り返すたびに1時間寿命が縮むといわれていますので、頻繁にON/OFFを繰り返すような場所には適していません。
長寿命・省エネがかなうLED
LEDは長寿命・省エネが最大のメリットです。1度買えば長期間変えなくてすみますし、省エネ効果も抜群なので電気代節約にもつながるでしょう。
新築・リフォームをする方は、ほとんどLEDにしていますね。
ただ、初期費用が他の電灯に比べて高く、安易に買えないデメリットもあります。
しかし、長寿命・省エネが叶いますので、長い目でみればやはりLEDのコスパは他のものに比べると圧倒的に良いものです。
今よりも明るくしたい場合
今より明るくしたい場合はいくつか方法があります。広いお部屋では、光が届きにくい場所が生まれます。
床・テーブル・壁に間接照明を用い、明るさをプラスしてみましょう。インテリア性も高いので置くだけでも部屋の雰囲気が変わりますよ。
また、白い壁・反射板効果がある天井や鏡があれば、光を反映させるため部屋全体を明るくします。
家具を密集させると影が生まれるので、できるだけ空間をあけることも必要ですね。
今よりも暗くしたい場合
今よりも照明を暗くしたい場合は、明るくするより簡単です。
ワット数を下げるだけで暗くなります。照明の限度ワット数より高くするのは、故障の原因となりますが、下げる分には問題ありません。
100ワットの蛍光灯を使用しているなら、60ワットになど、明るさを調節してみましょう。
また、暗い色合いの家具や壁紙、カーテンに変えると落ち着いた雰囲気を作れます。程よい暗さは私たちの心に安息をもたらしてくれますね。
まとめ:照明の明るさで、空間をコントロール
明るさが違うだけで雰囲気が変わる照明は、用途別にかなった明るさにすることで心地よい空間になります。
照明を使用したとき、いつもの明るさで過ごす前に部屋全体を見まわしたり手元の作業を手を止めたりして見直してみませんか。
実は暗かったり、まぶしかったりすることを日常の忙しさにまぎれて見過ごしていたかもしれません。
部屋や生活習慣に合わせた明るさを手に入れて、素敵な空間づくりをめざしましょう。
【参考サイト】
照明器具の明るさと選び方
JISの照度基準を正しく理解する
https://www.endo-lighting.co.jp/hikariiku/knowledge/14379/
「ペンダントライト」と「シーリングライト」の違いは?理想空間をつくる照明の選び方
https://magazine.sbiaruhi.co.jp/0000-3726/
照明メーカーが推奨する電球の選びかたとは?基礎・基本を学ぶ
https://www.e-hasegawa.co.jp/ceo-168/
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