世界で生まれたソファのデザインを学ぶ

世界で生まれたソファは、ユニークなデザインがたくさんあります。目を引くようなものから、機能的に考えられているもの。生まれた地域のアイデンティティが盛り込まれたものなど様々です。

  

ソファ選びをはじめると、実物や写真を眺めながら「いいな!」と思うと同時に、部屋にはぴったり合うだろうか?と脳裏をよぎることもあります。さらに、購入を決めたあとに知識不足でもっとぴったりなアイテムが見つかるかもしれません。


今回は、世界で生まれたソファとして確立されたデザインの特徴を取り上げます。事前に知っておくことで、ソファ選びの選択肢の幅が広がることでしょう。購入の参考になれば幸いです。



格式高いチェスターフィールドソファ

チェスターフィールドは、イギリス発祥で、長く愛されてきた伝統的なソファです。アンティークインテリアを代表するヴィクトリアンスタイルに欠かせないアイテムの一つと言えます。


革張りのソファにボタン留めが施されているのが大きな特徴です。背もたれ・肘掛けのエレガントなカーブやどっしりとした座面の厚さも特有のデザインで、重厚感があります。


元々イギリスでは、背もたれと肘掛けが同じ高さでつながったデザインを「チェスターフィールドソファ」と呼んでいました。現在は、背もたれが羽のように広がったウイングバックタイプのソファなどもチェスターフィールドとして紹介されていることがありますね。


伝統的な職人技が光る総革張りとボタン留め加工の高級感が、英国紳士の落ち着きと品の良さを醸し出します。革の張り地が一般的ですが、ベルベットなどのファブリック生地で作られているソファもあります。


インテリアの格を上げるダンディーな格好良さはさることながら、上質な革のツヤ・色・馴染み感を育てるという大人の楽しみも味わうことができるでしょう。



カスタマイズ性が高いセクショナルソファ

セクショナルソファとは、パーツの組み合わせ方によって形状や大きさを変えることができるソファを言います。こういったソファは、ライフスタイルの変化や利用シーンに柔軟に対応させることができて便利です。


L字型やコの字型のデザインが多く、家族が多い家庭や応接室などにも取り入れやすいですね。カウチやオットマンパーツを動かすことで、ソファの形を変えたり、分割して2つのソファとして使うこともできます。


座席一つ一つが別パーツになっていれば、一人掛けソファとして置いてもいいですよね。ソファは大きな家具なので、自由度が高い方が長く気持ち良く使うことができるのではないでしょうか。「一度置いてしまったらもう動かさない」というソファの固定観念を覆すデザインです。


ソファパーツごとに購入できる場合が多く、必要に応じて買い足してカスタマイズすることもできます。


多くのソファがこのセクショナルスタイルを取り入れているため、非常に多くのデザインから選ぶことができるのも魅力です。



ファブリック生地を楽しむモロッカンソファ

モロッコでは、どの家庭にも大勢の来客をもてなすためのサロン(リビング)があり、人がたくさん座れる長ソファを壁際にコの字に置いてクッションを並べるそうです。


モロッコの人は、長ソファとクッションのカバーにこだわり、カラフルでゴージャスな生地選びを楽しみます。


このモロッコサロンの雰囲気を模しているのがモロッカンソファです。シンプルな形状で座面が広く、エキゾチックな柄物やカラフルなファブリック生地を張り地に使います。背もたれや肘掛けは、無い若しくは低く、たくさんのクッションを置いて寛ぐスタイルです。

 

形は簡素なので、日本の様々なインテリアともマッチします。そして、ソファやクッションの生地によって印象は大きく変わるでしょう。モロッカンなインテリアであれば、民族的な柄・鮮やかな色彩を選ぶと良いですね。


クッションは、「ちょっと多いのでは?」というくらい置くのがモロッコ流です。


見た目だけではなく、リラックス感を高め、居心地良く過ごすための工夫でもあります。プフと呼ばれるモロッコのフロアクッションをオットマンとして使うのも素敵ですよ。



開放感と寛ぎを生むローソファ

ローソファは、通常より座面が低いソファのことです。座面の高さが30〜40㎝以下のソファを指す場合が多く、座椅子のように座面が床に近いデザインもあります。床座生活に馴染みがある日本では取り入れやすいスタイルですね。


座面が低いので、大型家具としての圧迫感をそれほど感じません。空間を開放的に見せることができ、大人数が座れる大きなソファが必要な場合や狭いお部屋にも置きやすいのが魅力です。


座ったときも、天井が高く感じられ、一般的なソファとは違った爽快感がありますよ。


床に足を投げ出すように座って寛ぐこともできますね。ソファ座面が床に近いほど、床との境界線がなくなり、寛ぎスペースが広くなるイメージです。和室にも合わせやすく、リラックス感が高い形状なので、世代やライフスタイルを問わず多くの家庭に馴染むでしょう。


「床に近い生活様式」というローソファのイメージから、アジア圏のインテリアを思い浮かべるかもしれませんが、世界中の有名ソファメーカーがローソファを取り扱っており、非常にバリエーションが豊富なソファです。



気品あふれるキャメルバックソファ

背もたれの優雅なカーブがラクダのコブに似ていることから「キャメルバック」と呼ばれているデザインが特徴です。正面から見るとティアラのようにも見える背もたれは、チェスターフィールドソファに比べると、女性的なエレガントさを感じさせます。


英国様式を取り入れたアメリカン・トラディショナルスタイルから生まれたデザインで、クラシックな雰囲気にぴったりマッチしてくれるでしょう。


背もたれだけではなく、外側にカーブした肘掛け部分が美しく、全体的に気品あるフォルムとなっています。肘掛けは、ソファを囲むように高めに設計されていることが多く、リッチな気分で座れるデザインですよ。


ソファの脚元を隠すスカートと呼ばれるカーテンのような装飾が付いている場合もあり、重厚感のある昔ながらのソファです。


張り地は、ダマスク柄などの伝統的な柄物のファブリックが一般的ですが、ベルベットやレザーの生地でも作られていますね。彫刻装飾の木製フレームが用いられているソファもあるようです。




フレキシブルなコンバーチブルソファ

コンバーチブルソファとは、ベッドに変換できるソファのことです。


一般的なソファベッドは背もたれを倒すことで寝台を作りますが、コンバーチブルソファは座面に収納された寝台を引き出す構造になっています。


電動で寝台を引き出せたり、寝台の下が収納ボックスになっているなど、しっかりとした作りのソファが多いです。リクライニングできる場合もあり、多機能性が目立ちますが、本来のソファやベッド単体としての使い心地やインテリア性も優良と言えます。


寝台を引き出した際に、ソファの背もたれがそのまま残るので、簡易ベッド感がなくリッチな気分で眠ることができるでしょう。寝台の引き出し具合を調整できるタイプであれば、足を伸ばして寛げるカウチソファのように使うこともできますね。


省スペースなので、狭いお部屋や来客用での活用はもちろん、座面の広いゆったりとしたソファとしても贅沢に使えるデザインです。机や棚にまで変身を遂げるコンバーチブルソファもあるので、新しいソファの使い方を発見できるかもしれませんよ。



機能美も光るミッドセンチュリーモダンソファ

ミッドセンチュリーモダンは、1940〜1960年代のアメリカ発祥のインテリアスタイルで、現在も世界中で高い人気を誇ります。その時代には、チャールズ&レイ・イームズやジョージ・ネルソンなどの有名デザイナーが数々の名作ソファを発表しました。


ミッドセンチュリーモダンソファの大きな特徴は、プライウッド(成形合板)などの新しい加工素材が用いられたことと、曲線を自由に使った斬新なフォルムとポップなカラーです。インテリア性の高さだけではなく、シンプルで使いやすい機能性も兼ね備えています。


無駄な装飾がなく、一般家庭に定着するような軽やかなデザインが魅力で、現代のインテリアにも難なく調和させることができるモダンなソファばかりです。


心躍るようなユニークな見た目の物も多いですが、座り心地や耐久性をしっかりと計算した構造になっています。


ミッドセンチュリー期の家具はコレクターが多く、日本でもリプロダクト品がたくさん販売されていますよ。多くの人が長く楽しめる美しいデザインにこだわっているからこそ、今なお時代を超えて愛されているのでしょう。



壁付け可能なローリング式ソファベッド

寝台部分を作る工程に特徴のあるソファベッドです。


ローリング式ソファベッドは、ソファ座面を手前に引いて持ち上げると、背もたれが座面側に倒れます。座面と背もたれの接合部を軸に回転して、座面が背もたれのように立ち上がるイメージです。その後、背もたれと平らになるよう座面を倒して寝台を作ります。


単に背もたれが後ろに倒れるソファベッドであれば、ソファ後方のスペースをその分確保する必要はありますが、ローリング式は、手前に引くことができるためそれほどスペースがいらないので、壁付けして置くこともできるのです。ソファの配置に制約がないので、スペースを節約したい方にはもってこいのデザインでしょう。


また、ソファ座面を支える土台部分に収納機能がある場合もあり、さらに空間を有効利用できます。


ローリング式の仕組みを聞くと、大掛かりな機材が内蔵されているように思われるかもしれませんが、案外シンプルな作りをしていて、ソファとしてのインテリア性も高いです。



上質な革を楽しむクラブソファ

かつて上流階級の紳士たちの社交場であったジェントルマンズクラブに置かれていたソファの形状で、それに由来して「クラブソファ」と呼ばれるようになった伝統的なソファです。


「クラブチェア」とも呼ばれ、元々はフランスから始まった呼び名だと言われています。


ぽってりと分厚く丸みを帯びた背もたれと肘掛けが特徴で、座面にもしっかりとしたマットレスが敷かれた重厚感のあるデザインです。一般的には一人掛けタイプですが、二人掛けソファもあるようですね。


張り地は上質な革で、使うごとに色やツヤの味わいが増していきます。


鋲打ちなどの装飾がある場合もありますが、基本的にはシンプルで、美しいフォルムと張り地を楽しんでいただけるソファです。革の経年劣化を残したアンティークのクラブソファも売られていますよ。


背面・サイド・座面からしっかりと体を支えてくれ、心地良いリラックス感を与えてくれますが、意外にもコンパクトなサイズが多く、背もたれも低めなので、こじんまりとしたお部屋にも置けます。紳士の品格を持つクラブソファを、パーソナルソファとして採用するのも素敵です。




まとめ


世界で生まれたソファのデザインとして、9種類取り上げました。


ただ単純に座るだけでなく、寝ることを考えたものや収納なども一緒に考えるもの。生まれた土地の好みや伝統的なデザインを取り込んだものなど、様々です。


ソファに対する知識が広がったことで、選び方にもバリエーションが持てたかと思います。ご自身の中で、こういったソファが欲しいと芯を持って選ぶと、長く快適に使えるアイテムが見つかるでしょう。


一度購入したら、長い付き合いになるのがソファです。あなたにとってベストなアイテムを見つけてくださいね。







【参考記事】

高級感漂うチェスターフィールドソファの座り心地と特徴

https://viviandcoco.com/column/furniture/chester-field/

チェスターフィールドについて

https://www.distinctivechesterfields.jp/?mode=f1

セクショナルソファでスペースを有効活用!

https://blog.comfort-works.com/ja/%E3%82%BB%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%95%E3%82%A1%E3%81%A7%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%92%E6%9C%89%E5%8A%B9%E6%B4%BB%E7%94%A8%EF%BC%81/

モロッコインテリアの作り方 ー基本編ー

https://www.foukari.com/?mode=f12

大人女子注目!お洒落モロッカンインテリアにはシンプルソファを♡

https://www.sofastyle.jp/media/coordinate/living/40236

意外と知らない海外のソファのデザインバリエーション

https://ashley-furniture-blog.jp/2020/04/17/designvariationofsofa/

イーセンアレンのキャメルバックソファを張替えました。

https://www.stanleys.co.jp/blog/2022/10/23/624

おしゃれなミッドセンチュリーソファー26選

https://twist-design.life/mid-century-design/mid-century-sofa

ミッドセンチュリーインテリアとは?特徴や部屋づくりのポイント、実例も紹介

https://www.athome.co.jp/contents/interior-style/midcentury-interior/

ミッドセンチュリーモダンとは?

インテリアに取り入れるコツを解説

https://rent.re-ism.co.jp/mag/mono/mono227

低いソファの魅力を活かした選び方~日本らしいロースタイルな暮らし~

https://aflat.asia/article/6693/index.html

ソファベッドの「ローリング式」って何?

https://ameblo.jp/hiratakagu/entry-11884644366.html