道具としての家具
新宿ショールームでは、生活雑貨類の販売を始めています。
これまでイベントとして、BOTANICの花瓶や、RHYTHMOSの革小物の販売を行いましたが、常設でもダイニングテーブルを彩る器などを販売することになりました。
展示什器を増やすにあたって、りんごの収穫、運搬に使われたムカイ林檎店さんにお安く譲っていただいたりんご箱を使うことになりました。
私は、りんごはバラでしか買ったことがなく、りんご箱というものをしっかり見るのは初めてで、その年季に、驚きました。何度も繰り返し使われているので、チョークやマジックで描かれた数字もたくさんあります。
今回は、棚として使うことを考えて、側面部分についている持ち手を外し、表面をヤスリで整え、積み上げ固定して、使うことにしました。
歪みや寸法の誤差などもあるので、真っ直ぐ積み重ねるにも相性を見ながら組みました。
配置は、オーダーメイド家具のショールームとしての機能を持つスペースとショップとしてのスペースを区切るように配置することを考えながら、スタッフ皆で検討しました。
作業をしながら、私は日頃お客様にお勧めしている家具が、職人の手によってどれほど美しく、滑らかに、心地よいものに仕上げられているかということを改めて感じていました。
道具としてのりんご箱は、たくさんのりんごを入れても壊れない強度と、価格にも注意して作られています。ダイニングテーブルや椅子は、食事や作業に使う台・座るための道具という用途を満たした上で、さらに手間をかけて加工することで、生活の中で使う人が豊かな心になる、心地よさや美しさが加わっています。
りんごの収穫や運搬という目的を果たす道具としてのりんご箱から、日頃お客様に紹介しているものの良さ、それによってどんな豊かな生活へ広がるかの理解を深めて、もっと伝えられるようにしたい、と感じました。