シンプルな家具にみる、細部のこだわりを知るための素材と加工の4つの注目点

シンプルな家具にみる、細部のこだわりを知るための素材と加工の4つの注目点

感覚的に好まれる方もいるとは思いますが、前回の記事でなぜシンプルな家具を好むのかを考えました。(前回の記事:シンプルな家具とインテリア)

シンプルな家具には素材や細部のこだわりが顕著に現れます。なぜシンプルな家具が好まれるのかを考えた上で、家具の細部の見方を紹介します。

  

素材

シンプルなものほど素材感が大きなデザインの要素であるといえるため、素材自体の品質はものの魅力に大きく関わってきます。木材の品質基準として、建築用材の針葉樹に対して、日本で認定されるものに「JAS基準」があります。しかし、家具に広く用いる広葉樹に対する格付けは日本にはなく、全米広葉樹製材協会による「NHLA格付基準」が指標となっています。それ以外の木材に関しては製材所ごとの独自の品質管理基準に基づいて扱われています。

そんな広葉樹によって作られた家具を使う立場から、素材に関して感じられることを記します。

 

模様

木材に現れる特徴の一つである模様には、入り皮、バーズペック(鳥が突いて木の組織が破壊されて成長が止まった部分)、干割れ、腐れ、節、割れ、ステイン、丸み(角に丸みのあるもの)、穴、、虫穴などがあります。これらはNHLAの基準でも判断要素として影響し、欠点とされる特徴です。さらに、特徴的な杢やガムポケット(樹脂が溜まってできた黒い斑点や筋)、ミネラルストリーク(木が吸い上げたミネラルが導管に溜まってできたもの)、グラスウォーム(ミネラルストリークに似た変色)、ステッカーマーク(乾燥工程で木材に当てた桟木の跡)などの模様もみられることがありますが、これらは欠点とはみなされず、上材として認められています。またここで記したものは、強度的にも問題となる場合があるため欠点とされます。

  

同じ1本の木でも、心材と辺材(以前の記事にも記しています:無垢材のダイニングテーブル)と分類される部分があります。これは模様に加えて、色味にも違いが見られます。心材と辺材が混じっている木材は、色味が不均一になります。これも特徴的ですが、NHLAでは欠点とはみなさずに評価しています。

 

一般的に上で記した特徴が少ないものが、品質の高い木材として評価されています。しかしこれらの条件をクリアした木材が希少であることや、それ以外の木材を使わないことが環境面で問題視されています。少しグレードを落としたものは、価格面も抑えられるうえに、欠点といわれる特徴を木本来の美しさとも捉えられるために、特に海外では好んで用いられることもあります。

  

 

加工

シンプルであるために細部にさりげないこだわりが詰め込まれたデザイン。それを美しく仕上げる加工の精度は、シンプルな家具を扱う際の着眼点です。

 

接合

木材の接合方法として、大きく分けて2種類あります。1つ目が、接合する一方の木材に穴をあけ、もう一方に突起を作ってそれらを組み合わせたり差し込んだりする接合方法、2つ目がネジなどの金具を用いて接合する方法です。その中にも分類すると何十種類の方法がありますが、特に前者は仕上がりに職人の腕が試される接合方法です。接合部が表面にデザインのように現れる方法もあるため、その美しさが使用者にも確認できます。

  

仕上げ(磨き)

作りの良さが最も身近に感じられるとも言えるところです。木材表面をやすりを用いて磨く作業によって、肌触りや木目の美しさが整えられます。また、この工程の出来によって木材の良さが引き出されるために、重要な工程といえます。

  

 

デザインがいかに素晴らしくても、加工技術がなければ高い品質で形にすることができないため、職人による加工の重要性が感じられます。

 

 

インテリアに溶け込むシンプルなデザインだからこそ、素材本来の美しさや、それを表現したデザインが際立ちます。さらにその加工の美しさなど細部を見て家具を選ぶのもいいかもしれません。