今治タオルブランドを支えるタオルマイスター プロジェクト認定の技術者とは

今治タオルブランドを支えるタオルマイスター プロジェクト認定の技術者とは

愛媛は今治市にある、今治タオル産地の成長に欠かせない存在、タオルマイスター。今治タオル産地の復活と、世界へ通じるタオルブランドを見据えて勧められた今治タオルプロジェクトの中から生まれた制度です。

(プロジェクトについて別記事にてご紹介しています:「今治タオル」という産地ブランド 佐藤可士和のディレクションと再生プロジェクト

ここでは、タオルマイスターとはどんなものか、どうして欠かせない存在であるのかを考えます。

 

タオルマイスター制度とは

タオルマイスター制度とは、今治タオルプロジェクト認定を受けた素晴らしい技術者のみが名乗ることのできる称号です。

「〈知識・経験に裏打ちされた最高の技術と技能を身につけ、若手のみならず、中級・上級者の範となるべきもので、地域社会に貢献する人格も備えた者〉」(四国タオル工業組合, 2014, p.153)

資格を取るためには、以下項目も満たす必要があります。

「①実務経験20年以上
②技能検定1級合格者(もしくは社内の技能評価検定で技能検定1級相当と認められる者)
③職業訓練指導員免許を取得した者
④後進を指導育成する事業や団体に協力・貢献した実績があり、今後も次世代を担う技術者への技術・技能・知識の伝達に携われる者
⑤本人及びに所属する組合員企業の同意が得られること」

(四国タオル工業組合, 2014, p.154)

 20年以上の豊富な実務経験に裏打ちされたタオル生産における最高峰の技術に加えて、職業訓練指導員免許やこれからの産地を支えていく次世代の教育に熱心な人物であること、また地域社会に貢献する規範となるような人格者でないとなれない称号です。

 

2014年現在、5名がタオルマイスター認定を受けて、活躍しています。

 

四国タオル工業組合社内技能検定

2011年には「四国タオル工業組合社内技能検定(職種:タオル製造)」が、厚生労働省の認可を受けて、制度化されました。

旧国家技能検定(職種:織機調整)に今治タオル産地独自の視点を加えた社内検定であり、1級と2が学科と実技で評価されます。実技では、製織途中に切れてしまった糸を結び直したり、糸の張りを微調整するなど、突然のトラブルなどにも対応できるような技術もはかられ、タオルマイスターが検定員として判定の場に立ち合います。
また、タオルマイスターになるには1級の取得が必須条件として設定されています。

 

 産地成長のための技能継承

タオルマイスター制度や四国タオル工業組合社内技能検定など、技能に関する力を制度化していくのは、今治のタオルメーカーを支えてきたのは間違いなく技術者で、その技術の継承と発展が、今治タオルの復活・存続と、成長に欠かせない要素絵あるから。今治タオルプロジェクトで掲げられたミッションの1つ、「安心・安全・高品質」を満たす、今治タオルの本質的価値を保ち続けるには、技術者が必要不可欠だからです。

 

 今治産地では、厚生労働省認定の実践型人材養成システムを用いた人材育成や、組合員企業の技術者で四国タオル技能士研究会を組織し、メーカーの枠を超えて高め合う場がつくられてきました。

プロジェクトに際して新しく設定された、検定試験1級2級、さらにタオルマイスターという称号を設けられたことで、若手や中堅の技術者が明確な目標を定めながら、徐々にスキルアップしていけるような仕組みづくりがなされました。

 

 

 

今治タオルブランドにおいて、匠の技術を継承・育成していくために、現在の名工を顕彰することに加えて、後進の指導やそれを目的とした仕組みが構築されています。日本のものづくりにおいて難しい後継問題ですが、今治産地においては、素晴らしい品質のタオル本体の魅力と、その魅力をしっかりと伝えるための産地全体で取り組むブランド戦略によって、しっかりと受け継がれていきます。

 

 

 

  

参考文献

四国タオル工業組合. 『今治タオル 120周年記念』. 世界文化社, 2015

佐藤可士和・四国タオル工業組合. 『今治タオル 奇跡の復活 起死回生のブランド戦略』. 朝日新聞出版, 2014

近藤 聖司. 今治タオル・プロジェクト 起死回生のブランド戦略. 「労務理論学会誌」. 2017年, vol.26, p.89-108
JSTAGE

今治タオル工業組合社内技能検定|平成28年度 地域発!いいもの|技のとびら - 技能検定制度のポータルサイト
https://waza.mhlw.go.jp/iimono/sentei/28/torikumi2.html(参照2022-4-30)