自分の体に合わせたオーダーメイド家具、 人間工学に基づいた椅子サイズの選び方

自分の体に合わせたオーダーメイド家具、 人間工学に基づいた椅子サイズの選び方

家具の中で、椅子を人間工学的に区別すると、人体系家具(アーゴノミー系家具)に分類されます。これは椅子やベットなど、人の体を支えるための家具を指しています。そんな椅子が自分の体に合っていないと、疲れる上に姿勢が悪くなってしまい、体のバランスが崩れる原因にもなりかねません。

事務用椅子にはガススプリングによって座が上下したり、背が前後に動くロッキング機能、着席の形に合わせて背もたれの形状が変化するランバーサポートの機能など、可変性のある椅子も多く見られるなかで、今回は寛ぐためだけの椅子では無く、何かの作業の際にも使用するオーダーメイドの椅子として、自分の体に合ったサイズの選び方について考えてみます。 

 

椅子の使いやすさ

 作業用の椅子・チェアの使いやすさを決める上で、大切になってくるポイントとして、寸法と角度、体圧分布、クッション性などが挙げられます。座面、背もたれ、肘掛に分けて紹介します。

  

座面

 

MIMOSA Bench
・樹種:ブラックチェリー
・サイズ:W1200

 

座面の高さ、座面の奥行きなどの寸法は重要な観点です。また、座面寸法は傾斜角度との関係性によっても変わってきます。

椅子の設計の原点ともいえる部分を、座位基準点といいます。お尻に手を当てて椅子に座った時に、両方の手の平を強く押す尖った骨を座骨といい、座った時の座骨の最下端を座骨結節点といいます。座位基準点とは、椅子に座った際に座骨結節点が、椅子の座面に接触している部分のことです。

人間工学的には、
[適切な座面の高さ(座位基準点から床までの距離)=下腿高−1cm程度]
とされています。
[下腿高=身長の4分の1程度]としても求められるため、
[適切な座面の高さ=身長の4分の1より低い高さ]とも言い換えられます。

 

座面の奥行きは、深すぎると背もたれが十分に機能せず、膝の裏側が圧迫されてしまうため、背もたれに腰が密着した時に、座の先端と膝の間にわずかな空きができる程度が良いとされています。

 

座の硬さに関しては、ベッドのマットレスと同様、ある程度硬さがあり平たい方が疲れにくく、長時間の作業に適するといわれています。また、座骨結節点や大腿部の裏側に必要以上の圧力がかからないよう、程よい硬さが適しています。

 

背もたれ

 

Gen Chair 02 / Gc 02

 

ベンチやスツールなど、背もたれのない椅子に長時間座った姿勢は、背骨が自然なS字カーブを描くことができずアーチ状になってしまい、それによって内臓が圧迫され、背骨の軟骨にも負担がかかることになります。

そこで、背もたれによって、第2〜4脊椎付近の背もたれ点を支えることで、このような負担が軽減されます。座面の高さ40cm程度の背もたれ無しの椅子が、最も疲れやすくなるという実験結果も報告されています。

 

作業用椅子の背もたれは傾斜が浅くなっていますが、休息性を高めた安楽椅子やソファなどは傾斜がより深く設計されています。その場合には、背もたれ点とともに、胸椎の下部、頭部を支えるように考えられています。

 

肘掛/アーム

 

TOPO Chair
・樹種:ブラックチェリー
・サイズ:M
・ファブリック:バトン ダークブラウン
※現在TOPO Chairのブラックチェリー製作は承っておりません

 

肘掛は、座位基準点から垂直距離(高さ)24〜25cm程度の位置、左右の間隔は42〜44cm程度の位置にあると良いとされています。

 

作業用の椅子としては、テーブルと合わせて使用することが主となり、作業のしやすさは、テーブルと椅子の高さの関係が大きく影響します。一般的には座位基準点から椅子の高さを計画し、その後それに合わせてテーブル高さを考えるという手順を踏みます。

自身の生活を支える家具として、デザインのみならず使いやすく疲れにくい、自分に合った大きさのものを選べるといいですね。

 

▽その他参考記事
自分の体や空間に合わせたオーダーメイド家具、 人間工学・インテリア計画に基づいたダイニングテーブルサイズの選び方

ダイニングセットのテーブル・チェアをそれぞれで選ぶ際、気にかけるべき3つのポイント

 

  

 

参考文献

『インテリアコーディネーター1次試験合格教本第11版下巻』ハウジングエージェンシー出版事業部

 

 

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