
自分の体や空間に合わせたオーダーメイド、 人間工学やインテリア計画に基づいたテーブルサイズの選び方
食事や作業のために使うテーブルに関して、もう少し天板が大きかったら、もう少し高さが抑えられていたらなど、あと少しの大きさの違いが気になってしまうことはありませんか。
大きさや高さなど気にはなるものの、いざ選ぶ際にはどう決めれば良いか難しく感じます。寸法に細かな指定ができるオーダーメイドでの、テーブルの選び方を考えてみます。
水平方向の大きさ
一般的な学習机や事務机の天板は、幅100cm奥行き60cm〜などのものがよく見られます。また、ダイニングテーブルは、対面の2人掛けであれば幅60cm奥行き80cm〜、対面4人掛けは120cm×80cm〜のサイズで考えられることが一般的です。これは、食事の際に必要な1人あたりの最低幅が60cm、奥行きが35〜40cmという仮定から導かれています。これらを目安に、ゆったりと使いたいかコンパクトに納めたいかなどを考えて選んでいきます。
しかし、テーブル天板の大きさは、部屋の広さやもののレイアウトによって多くの制約を受けます。テーブルの大きさに加えて、そのテーブルに立ったり座ったりする際に最低でも60〜80cm、通路としては1人が通るのに60cmを要すると考えられているため、それらを考慮して周囲の家具やインテリアの配置をしていく必要があります。
高さ方向の大きさ
高さ方向の寸法は、使用者の体格に合わせて設計されることが重要です。特に、椅子と同様に、適切な大きさにすることで作業のしやすさや姿勢にも関わってきます。
一般的な高さ
机には規格の寸法があります。
JISでは事務机の標準的な高さとして、67cmと70cmの2種類を定めており、一般的に70cmのものが広く販売されています。これには歴史があり終戦後、アメリカでの標準サイズの高さ74cmの事務机が用いられるようになったのが始まりです。その後1971年には日本人の平均身長に合わせて、天板の高さの規格は70cmに改められました。現在、変更された当時よりも平均身長が伸びていることや、当然様々な身長の人がいることからも、統一することが難しいことが理解できます。誰もが使えるものという観点では、高さが自由に変更できたりする椅子やテーブルが重宝されるのもよく理解できますね。
学校などで使用される学習机の高さも、JISにより定められています。国際標準化機構(ISO)規格との整合性も考慮された上で、5.5号を除いて6cm刻みで定められています。同じように学習椅子の高さは4cm刻みで定められています。学生の身体の成長に伴って、細かく合わせられるように設定されていることがわかります。
天板の高さ
テーブルや机の寸法の決め方として、先に人体に合わせた椅子の高さを決め、それに合わせたテーブルを決めるという方法があります(以前の記事で椅子の寸法の決め方について触れています:オーダーメイドの椅子の選び方)。
机の高さも椅子の高さを考える際に重要であった、座位基準点を中心に考えていきます。座位基準点から机の天板上面までの距離(机の高さー椅子の高さ)を差尺といいます。差尺を使用用途などによって扱い分けることで、テーブルの用途を考えながら寸法を定めていきます。
筆記作業など、能率に重点を置いた作業での使用が中心となる場合の差尺は、[座高÷3]で求められます。また、読書や緩慢な作業、食事など、長時間使用する場合やパソコンでの作業が中心となる場合、その値から2cm〜3cm下げた値が適切だと考えられています。
実用値として、一般的な日本の成人男性であれば28〜30cm、成人女性であれば27 〜29cmが目安の寸法だとされています。
デザインや素材など見た目の印象を選ぶのに加えて、空間に合わせて天板の大きさを決め、自分の体に合わせて高さを決める。このような方法でも、自分の生活にフィットした家具のオーダーができるのではないでしょうか。
参考文献
『インテリアコーディネーター1次試験合格教本第11版下巻』ハウジングエージェンシー出版事業部