トーネットとその影響を受けた名作椅子

トーネットとその影響を受けた名作椅子

トーネットの曲木技術についてや、それに影響を受けたとされるスチールパイプを曲げた椅子とカンチレバー構造の椅子への発展は、以前の記事に記しました。

曲木技術を生み出したミヒャエル・トーネットトーネットの曲木技術とその特徴トーネットとバウハウス スチールパイプとカンチレバーの椅子

トーネットは曲木技術を活かしてNo.14を中心とした椅子を作りますが、それは大きな功績となり、スチールパイプの椅子以外にも様々に影響を与え、展開していきます。

今回は、トーネットの影響を受けて別の方向へ発展させた名作椅子として、アルヴァ・アアルト、チャールズ・レイ・イームズ、アルネ・ヤコブセンの椅子をみていきます。

  

No.42 アームチェア

アルヴァ・アアルト

1932年

 

この椅子は、木製成形合板と似た形状といえる平型スチール(フラットバースチール)を用いた、ミース・ファン・デル・ローエのブルノチェア(1929〜30年)にインスパイアされたといわれている。

アルヴァ・アアルトは、トーネットの曲げ合板の技術をさらに発展させ、Lレッグと呼ばれる曲木技法を開発。Lレッグは、無垢材の先端から曲げる部分に、数ミリ間隔で切り込みを入れ、その間に薄い板を挟み込み接着した後、熱を加えながら曲げるという製法によって作られる。よって、直線部分は無垢材のままとなる。この方法で、スチールを曲げるかのように無垢材を曲げることが可能となった。

 

No.42アームチェアは、No.41ラウンジチェア(パイミオチェア)と共に、アアルト設計のパイミオのサナトリウムのために提案された椅子。製作から80年以上経過した現在も、アルテックのもとで生産が続けられている。それまで、強度面からカンチレバー構造の椅子はスチール製のものばかりだったが、Lレッグの技術を活かし、木材によるカンチレバー椅子を実現。

バーチ材のフレームと、合板の座面・背もたれの有機的な曲線が温かく、美しい。フレームに関して、木材の経年変化を考慮し、ひとつのフレームを半分に分割して両端に用いている。

    

イームズプライウッドチェア

チャールズ&レイ・イームズ

1946年

 

アルヴァ・アアルトの影響を受けて様々に木材の成形実験を行っていた2人のもとへ、海軍から、足の骨折時の添木としてプライウッド製のレッグ・スプリントや、担架などの開発依頼が舞い込む。そのために熱と圧力を加えて三次元的に合板を成形する方法を編み出し、その技術を用いて製作された椅子。

戦後、ベビーブームや郊外住宅の増加による家具需要の高まりを受けて、比較的安価な素材を用い、大量生産可能なデザインが必要だと考えたイームズ。そこで、プライウッドの三次元的な整形にこだわり、ファブリックなど必要とせずとも快適な座り心地を実現させた。

  

アントチェア

アルネ・ヤコブセン

1952年

 

チャールズ&レイ・イームズのプライウッドチェアに動かされたのがアルネ・ヤコブセン。

別記事:北欧初デザインの椅子 アルネ・ヤコブセン にてご紹介しています。

 

 

トーネットの椅子が後世に大きな影響を与えたことは、その後の名作椅子からも見て取れるのです。 

 

 

参考文献

『ストーリーのある50の名作椅子案内』萩原健太郎 , スペースシャワーネットワーク

『名建築と名作椅子の教科書』アガタ・トロマノフ , エクスナレッジ

 

  

【youtube】

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トーネットをテーマにした回です。よろしければぜひご覧ください。 

 

 

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