今治タオルとは 愛媛県今治市のタオルの発展 戦後〜

今治タオルとは 愛媛県今治市のタオルの発展 戦後〜

今治タオルの起こり〜戦前までの流れをみてきました。
(今治タオルとは 愛媛県今治市のタオルの起こりと技術発展 〜戦前)

タオル生産自体は後発ながらも、織機と、独自の製法の開発によって人気を集めながら成長しましたが、第二次世界大戦では大きな打撃を受けました。多くの工場、織機、従業員を政府に提供することとなり、また、今治市に集中していたタオル工場は、今治空襲の被害も大きく受けました。
 

第二次世界大戦後の今治とタオル産業

第二次世界大戦において大きな被害を受けながらも、1950年(昭和25年)に織機の設備に関する制限が廃止され、戦後の衣料不足に伴った利益を見越して、市場を開拓していきます。先晒しタオルの技術を活かし、バスタオルなど大幅の紋織タオルを中心にした生産が行われました。

朝鮮戦争による特需もありタオル産業は好景気を迎えましたが、1952年(昭和27年)には「特定中小企業の安定に関する臨時措置法」、1954年(昭和29年)には「中小企業安定法第29条命令」が発令され、生産数の制限や織機の増設の禁止などが定められるなど、厳しい生産統制がとられる事態となります。

 

1960年(昭和35年)には、「中小企業業種別振興臨時措置法」が定められ、61年(昭和36年)には生産数量制限が撤廃され、また、高度経済成長期の消費ブームも受けて、生産量・業者数が増加しました。

これを受けて、タオル生産の機械技術に関しても、高まる国内需要に対して生産力を上げる動きとなっていきます。織機は、高速化・大型化・多様化し、量産体制へと向かっていきます。

また、昭和30年代前半に開発されたタオルケットは、特に需要が伸び、爆発的な売れ行きとなったことで、1960年(昭和35年)には、大阪泉州を抜いて生産量日本一となりました。

   

バブル経済崩壊と衰退

繊維をめぐる貿易摩擦により、1970年(昭和45年)対米繊維輸出自主規制による輸出減少や、国内での需要の停滞、さらにタオル生産が過剰であったことから、低成長時代を迎えます。中小企業団体の組織に関する法律に基づく命令の規定による織機の登録の特例に関する法律」(特例法)も施行され、再び生産統制が行われることとなります。

そんな中今治では、アパレル部門としてタオル素材を用いた衣服のファッションショーを東京や松山にて開催するなど、タオルメーカー主導の取り組みがなされていました。

また、この頃からブランドのOEM生産が強まっていきます。ギフト需要もあり、生産量は増え続けますが、同時に市場に出回るタオルにおいてブランド名と問屋の名前だけが見える状態となり、今治という産地が見え辛い構造となっていきます。

 

1980年代に入ると、1985年のプラザ合意の影響で円高となり、タオルにおいても海外製品の輸入が増えましたが、バブル経済を受けて国内需要も高まっており、輸入の増加が問題視される程度にはなりませんでした。

 

1990年代にはバブル経済が弾け、法人需要が減り、中国からの安価な輸入タオルの需要が高まる中で、今治タオルの生産量は減少し続ける低迷期に入ります。

2000年、日本タオル工業連合会は「タオル輸入無秩序化に関する要望書」を通産産業省に提出します。2001年には中国とベトナムに対するセーフガード発動を申請しますが、その後4年間セーフガードの発動は調査継続として見送られ、発動されることはありませんでした。いよいよ苦しい状態となり求心力が薄れた各産地のタオル組合は解散していき、2010年には今治と泉州のみとなります。

 

 

 

戦後の激動の時代の中でタオル産地も、政府からの制限や輸入品との戦いなど、さまざまな困難があったことを知りました。

窮地に立たされた今治タオルはこの後産地として立て直しのため、さまざまな施策に取り組みます(別記事にてご紹介予定)。

 

参考文献

四国タオル工業組合. 『今治タオル 120周年記念』. 世界文化社, 2015

データベース『えひめの記憶』|生涯学習情報提供システム愛媛県史, ・<https://www.i-manabi.jp/system/regionals/regionals/ecode:2/45/view/5773>(参照2022-4-3)

・<https://www.i-manabi.jp/system/regionals/regionals/ecode:2/33/view/4702>(参照2022-4-4)

辻 智佐子. 1960年代以降の日本の二大タオル産地(今治・泉州)における技術的変遷と特許出願状況. 「現代社会研究」. 2019-03, vol.16, p.87-89
東洋大学学術情報リポジトリ

藤高 豊文. 「今治タオル」の現状と今後.  「繊維機械学会誌」. 2006年, vol.59, no.11,  p.597-600
JSTAGE