今治タオルとは 高品質なタオルブランドとして守る高い基準

今治タオルとは 高品質なタオルブランドとして守る高い基準

WELLでお取り扱いを開始する今治タオル。
ふんわりと柔らかい触感や、吸水力などの機能面を含め高い品質を誇ります。


今治タオルとは、四国は愛媛県今治市で生産され、さらに高品質なタオルブランドとして独自で設定した品質基準を満たすものだけが名乗ることができるものです。

ここでは今治タオルとして、高い品質を保持するために設定された基準についてご紹介します。

 

 

今治タオルブランド独自の品質基準

今治タオルブランドの品質基準は数多く設けられていますが、タオル特性、堅牢度、物性、安全性に大きく分類されます。

  

タオル特性

タオル特有の性質として、今治タオルの最大の特徴である吸水性に加えて、脱毛率、パイル保持性の基準が設定されています。

  

吸水性:JIS-L1907 沈降法試験

吸水性試験には「沈降法」という方法が用いられます。
水に10mm角の
タオル片を浮かべ、5秒以内に沈むものだけがクリアとなります。各社異なるものの、一般的な繊維製品は60秒以下を基準とすることが多いのに対し、今治タオルは「5秒ルール」を採用。

また、未洗濯、3度洗濯済、各状態の実験を行い、両方を合格しなければなりません。高い吸水性を誇る今治タオル品質の追求が伺えます。

  

脱毛率:JIS-L0217 洗い方103法(タオル検法)

洗濯時の摩擦によって、必ず毛羽が発生し抜けていくパイル部分。
より長く、良い質感で使ってもらえるように、毛羽落ちの度合いが問題ないか検査する試験です。

検査するタオルの重さを測った後、規格で定められた方法で洗濯。抜け落ちた毛羽を回収し、その重さで数値を出します。

脱毛した毛羽の割合が、
・通常の糸をパイルにしたタオル:全体の0.2%以下
・無撚糸を使用したもの:0.5%以下
・シャーリング加工したもの:0.4%以下

の場合のみ、合格となります。

 

パイル保持性:タオル検法

タオルのパイルが摩擦によって脱落しないかを評価する試験です。

摩耗試験機を用いて検査を行います。摩擦台のゴム板の下にパイルが下を向くように装着し、一定荷重をかけながら、耐水研磨紙で多方向に500回摩擦。摩擦した部分から残存しているパイル糸、ブランクしたパイル糸の質量をそれぞれ取り出し、その質量を測定します。

・バスタオル・タオルケット:2.45cn(センチニュートン)/ パイル以上
・フェイスタオル・ウォッシュタオル:2.16cn(センチニュートン)/ パイル以上 

が保持されている場合にクリアとなります。
  

染色堅牢度

染色したタオルの場合に、洗濯や摩擦による「変退色(色落ち)」「汚染(色移り)」がどれほどするかを数値化するもの。

耐光、洗濯、汗、摩擦の項目に分けられます。

  

対光:JIS-L0842 カーボンアーク法

光の作用による変退色の程度を検査します。
6.5cm×4cm以上の大きさのタオルに、紫外線カーボンアーク灯光(JIS L 0842)による光を照射し、変色を調査します。

・4級以上(パステル色及び淡色3級以上)

 

洗濯:JIS-L0844 A-2号法

洗濯による変退色(色の変化・色落ち)と、他の洗濯物への汚染(色移り)程度を評価する試験です。

家庭用洗濯機ではなく、専用の試験機器を用いて一定条件(マルセル石鹸5g / 1lを溶かした、50±2℃の洗濯機の中)で、30分の試験片洗濯を実施。すすぎ・乾燥の後判定します。

・変退色:4級以上
・汚染:4級以上

 

特に、変退色や汚染が起きやすい濃色に染められたタオルや、濃色の染料プリントしたものでも4級以上の数値が得られるよう、丁寧に精練や漂白、プリント、糊抜き、洗いなどが行われています。

  

汗:JIS-L0848

汗の作用による、変退色、汚染の程度を評価するための試験。
酸性とアルカリ性の2種類の人工汗液を、試験片に染み込ませた後、一定の荷重をかけながら乾燥。乾いた試験編の状態で判定します。

・変退色:4級以上
・汚染:3〜4級以上

 

摩擦:JIS-L0849(Ⅱ型)

タオルとその他の擦れによって、他製品への汚染(色移り)の程度を数値化するもの。
Ⅱ型(別名:学振型)と呼ばれる摩擦試験機を用いて検査します。
乾燥試験と湿潤試験の2種類があり、それぞれの試験片を試験機に取り付け、一定の荷重をかけながら100回往復摩擦を実施。その後、汚染を測るためのスケールで色移りの程度を計測します。

・乾燥:4級以上
・湿潤:2〜3級以上(濃色及び顔料プリント品は0.5級下げる)

 

タオル地はパイルの部分が立っていて表面積が大きいことから、平織の布と比べると余分に摩擦されます。そのため、同じ染料・顔料を用い、同じ方法で加工を施しても、平織布よりも低い数値となります。

  

 

物性

タオルに関しても使っていく過程で、引張り、曲げ、圧縮、ねじりなどの力に対しての抵抗力が必要となります。この抵抗力を力学的に評価するのが物性試験です。

 

引張り強さ:JIS-L1096 A法(ラベルドストリップ法)

引っ張り力に対してのタオル織地の強度を評価するもの。
引張試験機を用いて生地を引張り、破断した時の最大値を計測します。

・縦:147N(ニュートン)以上
・横:196N以上

 

密度が粗であるものや、糸や生地をあえて傷めるような特殊加工(吸水性や形態安定を目的として)が施されたもの以外はほぼクリアしています。

 

破裂強さ:JIS-L1096 A法(ミューレン形法)

抵抗力の一つ、破裂強さ。

強い力が加わった時に、織地が破裂(パンク)することの無いよう、織地の組織の物理的な強さについて、ミューレン型破裂強さ試験機を用いて検査します。

定められた張力で15cm角のタオル地を張り、ゴム隔膜で圧力を加えて、タオルを突き破る強さを計測します。

・392.3kPa / ㎠以上

      

    寸法変化率:JIS-L1096 G法(電気洗濯機法)

    洗濯による伸び縮みを検査する試験です。

    40cm角のタオル地を、家庭用洗濯機(電気洗濯機 パルセーター形)を用い、40℃の湯で5分洗濯。その後、常温水で2分の水洗いを2回実施し、脱水や乾燥を経た伸び縮みを計測。今治タオルは±7%以内のものが合格となります。

    電気洗濯機(パルセーター形)で洗濯し、脱水や乾燥した後の伸び縮みを計測。

    ・±7%以内

     

    1回の洗濯乾燥で5%以上伸縮することは、無理な操作をしない限りありませんが、ワッフルガーゼやボーダー織のような商品は、乾燥機の使用や直射日光などが原因で急速に縮む場合もあるため、注意が必要です。

      

    メロー巻き部分の滑脱抵抗力:JIS-L1096(タオル検法)滑脱抵抗力ピン引掛け

    縫い目部分に力が加わった際、その付近の糸がスリップし、縫い目が開いたりすることを滑脱といいます。それを避けるために抵抗力を測定する検査です。

    5cm×15cmほどの試験片を、縦・横方向に各3枚採取し、織物引張試験機に取り付け、糸の引き抜き最大抵抗力(N)を測ります。

    ・縦:20N以上
    ・横:30N以上

     

    メロー巻き縫製品のメロー巻き部分の滑脱のクレームが向けられたことから、今治タオルブランドでも、2013年8月より新たに品質基準に追加されました。 

      

    有機物質

    遊離ホルムアルデヒド

    有害物質:厚生省令第34号 アセチルアセトン法

     

    ホルムアルデヒドは、肌に直接触れるとアレルギー性皮膚炎を引き起こす恐れがある、刺激臭を持つ化学物質です。繊維製品には、形態安定加工やプリント加工を施すときなどにホルムアルデヒド系加工剤が使用されていますが、その加工材から遊離したホルムアルデヒドは、健康被害を起こす可能性があるため注意が必要です。

    液相抽出で抽出されるホルムアルデヒドの量を測定し、ホルムアルデヒドが遊離する度合いを検査します。

     

    ・吸光度差0.03以下(PPM換算9.6PPM以下に相当)

     

    これは、乳幼児向けの16PPM(μg)以下よりも厳しい基準です。
    日本のタオルを生産加工する工程では、欧米で使用が禁止・規制されている有害物質は使用されないので、ホルムアルデヒド残留の有無以外の検査項目は
    現在設定されていません。

     

       

      

     

    一般的な繊維製品が通過すべき検査・基準はもちろんのこと、今治タオルブランドとして独自で設定された高い基準。5秒ルールで徹底的な管理がなされているからこその吸水性。堅牢度や安全性も確かめられているから、小さなお子様にも安心して使えて、長く愛用できます。

    海外製品も多くある中で、今なお国内生産の5割を占める今治タオル。高品質であることに信頼をおけるタオルであることが伺えます。

     

      

    参考文献

    四国タオル工業組合. 『今治タオル 120周年記念』. 世界文化社, 2015

    今治タオル工業組合. 『タオルソムリエ教本』. 今治タオル工業組合, ヒューマンリソースワーキンググループ, 2018年

    今治タオルブランド認定商品の品質基準 | 今治タオル工業組合, 
    <https://itia.or.jp/quality.html>(参照2022-5-5)