樹種の選び方 ハードメープル

樹種の選び方 ハードメープル

以前の記事「テーブルの天板に使われる木材」でもさらりと触れていますが、ハードメープルという樹種について、詳しくご紹介します。

 

ハードメープルとは

 

家具に使われるメープルには、

・ソフトメープル(別名:レッドメープル、スカーレットメープル、スワンメープル、ウオーターメープル )

・ハードメープル(別名:ロックメープル、シュガーメープル、ブラックメープル)

などがあります。

 

WELLで扱うのは、ムクロジ科カエデ属のメープル類の中でも、特に重厚で硬い、北米産の温帯産広葉樹(散孔材)であるハードメープルです。

名前通りの硬さや強度から、様々な用途に使用される樹種です。

 

  

 

写真

・TOPO CHAIR arm chair(樹種:ハードメープル  張地:ツイル ナイトブルー)

 

特性

経年変化の度合いや、丸太のどの部分を使用しているかにもよりますが、WELLの扱う樹種のなかで最も淡く明るい色です。電球色のソフトメープルに対して、ハードメープルは蛍光灯の昼白色のような雰囲気の色味と表現できます。明るく白っぽい色味は、部屋のトーンを明るくし、清潔感も感じられます。

 

模様

通常は通直な木理を持ちますが、時に様々な美しい杢が見受けられます(木目について:『木製家具の木目による個性の違い』)。

波状杢や、鳥眼杢(バーズアイフィギア)、バイオリン杢、キルト杢、などいろいろな杢が現れることは特徴的です。

ウォールナットやチェリーと同じく散孔材ですが、淡い色味の地に、赤褐色の明快な線が目立つ印象もあり、木目や木理の模様をしっかりと楽しむ事ができる樹種といえます(環孔材と散孔材について:『無垢材のダイニングテーブル』)。

均一で密度の高い肌目を持っており、研磨すると滑らかな肌触りと強い光沢を得て、美しく仕上がります。

 

   

硬度や強度

ハードメープルは名前通り、硬く重さと強度や密度のある樹種です。バットなどにも使用されるほど衝撃や摩耗に対しても強く、高級家具の素材として高い評価を得ています。安心して長期の使用を考えられる樹種です。

  

用途

均一で精な肌目と強い光沢は、家具、インテリア建具、特にキッチン周りの木部工事の材料として高い人気を誇ります。

強く、重く、硬いことから、家具の他にも、アオダモに代わってのバット材や、フローリング材への使用に加えて、大型のまな板などに使用されることがあります。また、特徴的な杢を持つ場合が多い樹種として、化粧材に加工されたり、楽器に使用される場合もあります。

 

 

加工時には、強く硬いことは道具の損耗や、研磨の際には細かい木粉の発生などがありますが、その分素晴らしい光沢ときめ細やかな肌触り、強度のある制作物となります。廃材率も低いエコロジカルな材で、明るい色味や模様などの特徴を楽しめる樹種です。

 

  

参考文献
『The Wood Handbook 木材活用ハンドブック』ニックギブス, ガイアブックス
『【原色】木材加工面がわかる樹種辞典』河村寿昌/西川栄明, 誠文堂新光社