椅子の歴史①

椅子の歴史①

用いられた座って食事をしたり、作業をしたり、寛いだり、

現代の生活に欠かせない道具となっている椅子。椅子がどのように使われ、どのような変化を経て今に至るのかを紐解きます。

 

今回は古代〜中世のころの流れを紹介します。

  

権力を示す道具としても用いられた

腰掛は紀元前3000年〜4000年ほどのころ、粘土で作ったものが使われていたといわれています。木製の椅子は¥となるとエジプト文明の頃、紀元前何十世紀という頃には使用されています。ツタンカーメンの椅子などでも知られているように、背もたれのある椅子は、当時権威を表すための道具として用いられたと考えられます。

現在の西洋の建築・インテリア・芸術の歴史の中で、その源流はギリシャやローマにあると言われ、古典(クラシック)と呼ばれています。ギリシャ文化では、生活の中で使用する「クリスモス」という婦人用の椅子、「ディフロス」というスツール、「クリーネ」という寝椅子が代表的な家具として挙げられます。機能的で簡素な印象が特徴的です。

  

 

出典

光藤俊夫著, 『ピラミッド』は「石で」と言うよりも本当は「砂で」建てられている,と言った方が正しいように思う : 十戒 : パピルスとロータス, 学苑 (767), 35-38, 2004-08, 昭和女子大学

論文内 p.38より抜粋

 

 

ローマ文化では、基本的にギリシャ文化が継承されます。しかし古代ローマ後半の帝政期には、また権力の象徴として用いられるようになります。当時の役人が使用した「セラ・クルリス」という折りたたみ式の椅子や、貴族が使用した「レクタス」などがその期間に使われた椅子です。

  

ロマネスク

11世紀から12世紀ごろのキリスト教を中心とした西ヨーロッパの建築、装飾の様式をロマネスクと言います。この時代は、建築物であるピサの大聖堂に代表されるように、かまぼこ状のアーチを横に連続させた装飾であるアーケード装飾が特徴の一つです。アーケード装飾は、ローマ以降様々な様式で採用されていますが、家具であるチェストや椅子にもこの装飾が多用されました。

 

ゴシック

12世紀後半に北フランスで起こり、13〜14世紀に最盛期となった西ヨーロッパの建築、装飾様式をゴシック様式といいます。キリスト教会が圧倒的な支配力を持っていたため、教会建築はその権威を象徴するように高く伸び、家具や室内装飾も厳しい彫刻を施した重厚なものが多いのが特徴です。

ギルドと呼ばれる手工業者の同職組合の制度が定着し、技術が発達したため、ゴシックの家具は西洋のクラシック家具の原型であるといわれています。チェストやハイバックチェアなど、彫刻装飾の施された大型家具が製作されました。装飾のモチーフとしては、アカンサス唐草、渦巻きが用いられました。パネルや窓の装飾として、麻布を折りたたんだようなリネンホールドや、トレーサリーと呼ばれる幾何学模様の格子や、火炎のように見えることから名付けられたフランボワイヤンが流行しました。

   

ここまで椅子は、彫り模様などの装飾が多く施されていたり、重厚感のある椅子が多いように見受けられます。背がある椅子はかつて、現在のように庶民の生活に寄り添うような椅子ではなく、権力の象徴として用いられる時代が長かったのですね。

  

  

参考文献

『インテリアコーディネーター1次試験合格教本第11版下巻』ハウジングエージェンシー出版事業部