WELL life style
#02 陶芸家 二川修さん
作家としてのこれまで
性別、年齢、国籍を問わず、現代に暮らす人々が共通して抱いているのは、豊かな生活を送りたいという願望だと思います。ただ、その豊かさは人それぞれ感じ方や求めている事が異なる事も事実です。
100人居たら100通りの生活があります。私達から見て豊かな生活を送っていると感じている人達へのインタビューを通して、豊かな暮らしを送るためのヒントを探っていきます。
2021年10月9日(土)〜17日(日)の期間、WELLショールームにて、陶芸家 / 二川修さんの個展を開催いたします。
※個展終了
場所:WELLショールーム
期間:2021年10月9日(土)〜10月17日(日)
営業時間:平日12:00〜19:00
土日祝11:00〜20:00
定休日:火・水・木曜日(個展会期中の木曜日はオープンいたします)
大阪は堺市に生まれ育ち、現在も同街に工房を構え、陶芸家として活動を続ける二川修さん。
シンプルな形状に、少し懐かしさや温かさを感じる質感の器は、料理やお菓子などを載せ、生活のシーンに取り込まれた時に深く感じられる美しさです。
個展開催にあたって、陶芸家としてのこれまでの歩みや歴史、今そしてこれからの暮らしについて伺いながら、二川さんのものづくりや、その基盤となる暮らしに滲む豊かさを紐解きます。
作家としてのこれまで
陶芸との出会い
ーー育った環境や、いつかの出来事など、何かものづくりに興味を持つきっかけはありましたか。
元大工で建築士の父と、手先が器用な母のおかげで手作り雑貨や日曜大工が当たり前の家庭でした。そのおかげで「物を作る」ことは特別ではなく、生活の一部だったように思います。
ーー大学時代には、工芸やデザインを学ばれた二川さん。その分野に進まれたのはなぜですか。
大学進学の際には、父の影響で建築を学ぶつもりでしたが、直接手を使う工芸やデザインにも心惹かれていたので、建築、都市計画、工芸と幅広く学べる学科を選びました。
ーー陶芸と出会ったきっかけと、どこに魅力を感じ、専念されるようになったのか教えてください。
大学では幾つかの素材を扱う機会があり陶芸もその中の1つでした。
素材の持つ可塑性や焼成による変化に惹かれ興味を持ち、陶芸の作品展を見に行くようになりました。
手の中に収まる魅力の詰まった一品から、圧倒的な存在感を放つ展示空間を目の当たりにして表現の幅広さを知り、憧れて真似るようになっていったのが始まりです。
「ものづくり」を取り巻く視点の変化
ーー20代の間は、自由な造形を模索されていたと見聞きしました。その後、暮らしの中で用いる道具としての器を中心にされるようになったのは、なぜですか。
「自由な造形」と言いつつも、それを作る理由を模索しながらの活動でした。
おそらく自分の中で「表現のための物作り」を正当化するために踠いていたのだと思います。
その息苦しさに耐えきれなくなり、陶芸から離れようと考えていた時に
地元の大阪・堺でクラフトフェアの立ち上げに参加することになりました。
そこでは 「暮らしの道具」を大切に選び、使い、そして作る人たちと出会う事になります。
その出会いが自分の「もの作り」の原点を見つめ直すきっかけになり、器のみの制作となりました。
ーーご自身のものづくりにおいて、大切にされていること・拘られていることを教えてください。
「器」というものは先人たちの手で研ぎすまされ、道具として限りなく完成形に近いと考えています。
いかにしてその中に自分の意思を受け入れてもらえるかを考え、取り組んでいます。
器を作り始めた頃「手が大きいので、器も大きくなる」と指摘されたことがありました。
そのおかげでサイズ感は意識しています。 拘りというよりかは、戒めに近いですね。。
それ以来は作り始めにサイズをしっかり検討したり、大中小と構成するようにしています。
一方でパーソナルな器(飯碗)などは、手になじむものを自由に選んでもらいたくて
形や寸法を決めず、バラバラっと作る事もあります。
ーーこれまでの人生で、大きなターニングポイントがあれば伺いたいです。
作家としてのターニングポイントは、やはりクラフトフェアとの出会いでしょうか。
作り手としての方向転換のきっかけになっただけではなく、
そこを入り口に「ものづくり」を取り巻く様々な視点を知る事が出来たと思います。
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