WELL life style<br />#01  ONE KILN(ワンキルン) 城戸雄介さん<br />自然なことで辿り着いた今の暮らし。これまでの歩み。<br />

WELL life style
#01 ONE KILN(ワンキルン) 城戸雄介さん
自然なことで辿り着いた今の暮らし。これまでの歩み。

性別、年齢、国籍を問わず、現代に暮らす人々が共通して抱いているのは、豊かな生活を送りたいという願望だと思います。ただ、その豊かさは人それぞれの感じ方や求めている事が異なることも事実です。

100人居たら100通りの生活があります。私達から見て豊かな生活を送っていると感じている人達へのインタビューを通して、豊かな暮らしを送るためのヒントを探っていきます。

 

 

これまでの歩み

 

鹿児島中央駅から車で10分ほどの住宅街。梅雨とは思えない澄んだ青い空と少し湿気を含む風が南国を感じさせ、自然と気持ちをリラックスさせる場所。「こんにちは!」。クシャッと笑って迎えてくれたのは「食卓に太陽を」をテーマに鹿児島の土を使い、火山灰の釉薬で独特な風味のあるプレートやカップを作られている、陶芸家の城戸雄介さん(ONE KILN / ワンキルン)。城戸さんが今にいたるまでどんな道を歩いてきたのか、「豊かさ」とは何かについてお話を聞きました。

 

 

 

 

城戸さんと村上が話している様子

 

自分らしさよりもやりたいことをする


ーー中川:豊かな暮らしの起点は、自分らしさを知ることが大事だと思いますが、城戸さんはどうですか?

 

そんな難しいことを考えていなくて、だた自分は何をやって生きていきたいか、なにをやりたいかを考え続けて、今にいたりました。「自分らしさが何か」って考えると難しいけど、僕の場合は「ものを作って、それを生業にして生きていきたい」と思ったんです。
そしたら自然と、住む場所は都会よりも田舎の方が作りやすい環境だし、知らない土地で陶芸の修行をする中で、自分にしかできないものを作ろうと思ったときに、地元の桜島の火山灰とか、シンボリックなものを自然と取り入れるのが、自分の中で自然だなって思ったんですよね。

きっと、その自然なことが、周りの人からすると「ワンキルンらしいものだよね」って思ってくれているんだろうなって。だんだん後付けから来ていて、最初から自分らしさってなんだろうって探して田舎に行こうって考えたわけじゃないですよ。

 

ーー中川:以前は東京のデザイン会社で働かれていたんですよね?

 

そうです。東京に住んでいたときは、デザイン会社を辞めて、家具のデザインや設計事務所で働きました。けど、ものづくりをしたかったのに、パソコンとか図面を見つめる時間が多くて、手を動かす時間が少なかったんです。それはそれで、すごく勉強になったし、楽しかったんですけどね。もっと手を動かしたいと思って、そこから「陶芸っていいな」ってなんとなく思ってやり始めました。全部で2年くらいです。

あと、銀座のギャラリーで1年間、働いたこともあります。陶芸家になろう!と思った時に、どうやって陶芸家で生きていけるか知りたくて、働きながら展示会で作家さんに話を聞いていました。
そしたら、京都の職業訓練校で陶芸を勉強できることを知って、受けたんですけど、伝統的な跡継ぎを育てる学校の意味合いが大きかったんです。面接の時に「好きなものを作りたい」と言ったら落とされました。
でも、今となっては、それでよかったなって。変に合わせて「京都の伝統引き継ぎたいです」って言っていたら、今のような活動に繋がっていなかったと思います。

その時のやったことや言ったことが今に繋がっていますね。

 

ーー村上:当時、迷いはなかったんですか?

 

振り返ると、迷っていなかったように見えますけど、当時は迷っていたと思います。
佐賀で修行していたときは、山奥で……。東京から急に、番地が甲乙丙みたいなところですよ。寂しくて携帯を握りしめて、寝ていました。それが修行期間だと思うんですけど、そこで毎日のように釜詰めを何百個やる生活をしていました。だから、焼き物で食べることって大変なことだなって知ることができました。産地の量産を体験したことが、すごく良い経験になっていますね。


独立した時に、大変なことがあっても乗り越えられる筋肉がついた気がします。その時は大変かもしれないけど、ちょっと辛抱して頑張ると、後からめっちゃ楽しくなったりしますよ。

村上さんもヨガとか筋トレとかしているから、わかると思うんですけど、めっちゃ痛いけど伸び切った時にすごく気持ちいいみたいな。ストレッチの幅を広げると、後で自分の振れ幅が増えるような感覚。
それを少しずつ頑張りながら、柔軟できる幅を伸ばしてあげて、自由になれていると思いますね。

 

ーー村上:僕は、ヨガの印象が強いんですね(笑)

 

なんか飲み会の時も「明日ヨガしたいから早く帰りたい」って言ってたじゃないですか。

 

ーー村上:確かに、そういう時期がありましたね。前に来た時は、屋久島にもマット持って行って、やっていましたね。

 

何かしら自分に負荷を掛けるっていうのは自分らしさとか、自由を考える上で僕は絶対必要だと思います。ただ、自由ってなんだろうって考えて、田舎に行ったら自由かなって思い浮かべるのは、違うし。何かしら自分が頑張ったことがあって、初めて自由を味わえたかなと思いました。

あれ?自由の話じゃなかったですよね?(笑)

 

城戸さんのアトリエ。ONE KILENのASH(アッシュ)シリーズのマグカップたちが並んでいる。

 

 

 

 

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