2022.02.13

永く使う Hirata Gen Collection のサスティナビリティ

日本の職人がひとつひとつ丁寧に作る「ハイクオリティでサスティナブルな家具」がコンセプトの「Hirata Gen Collection」。

サスティナブルという言葉はよく耳にするようになり、自分や周囲の考え方・感覚も変わってきているように思われますが、

Hirata Gen Collectionは、永く使えるという点にまとまって、実現されているサスティナビリティだと感じました。

平田椅子製作所の大坪さん・デザイナーの石河さんから色々と伺うなかで知った、素材、デザイン、作りなどさまざまな面からの、永く大切に使うためのものづくりについて、一部ですがまとめることにします。

素材

Hirata Gen Collectionは、10年、20年と永く使える耐久性と品質を持つ、健全な自然素材を使用しています。

各家具に共通して用いられる木材は、アッシュ無垢材。野球バットやボウリングのピン等、スポーツ用品にも多く用いられ、高い強度と弾力性を持ちます。通直ではっきりとした木理模様や、その明るい色味も特徴的です。

ソファやチェアの張地には、クヴァドラ社のウールや、ソーレンセン社のレザーが採用されています。生産から納品までの工程全体で環境への影響を最小限に抑える取り組みを行いながら、厳しい品質基準を満たして納品される素材です。

製作

製作過程においても、環境に配慮した視点が感じ取れます。

Hirata Gen Collectionには、木材を削り出すことで形作る「切削加工」が多用されます。

木という素材は、木理の通る方向と外から加わる圧力の方向の関わり方によって、耐久性や強度が変わってくることが特徴の一つです。軽快な細い木材の曲げ加工は強度的な面でも難しく、切削という加工方法を用いることで、美しいデザインが体重を預けられる強度で実現しています。

私は切削加工ときくと、木材を贅沢に使用するようなイメージを持っていましたが、実際には無駄がでないよう、効率よく木材を使用できるよう、
また、強度面・見た目の印象にも重要となってくる木理の方向や、色味等も考慮した上で、木取りが行われています。

さらに、細く削り上げられた木材を繋いだ、絶妙な曲線から成る形状は、その継ぎ目の位置もデザイン・強度の両面から検討・決定され、その接合は木組みで行われています。金具の使用を可能な限り避ける点なども、見た目の美しさとともに、永く使うための知識と工夫が感じ取れます。

各工程で、50年以上にわたって椅子作りを続けてきた平田椅子製作所の技術が光る製作です。

デザイン

「家具」の根源的価値を見つめ直し、デンマークと日本の美学の根底にある「シンプルで質素な心地よい暮らし」を目指したHirata Gen Collection。

建築家Lars Vejen氏とデザイナー石河泰治朗氏のコラボレーションであるstudioA27が手がけたコレクションの根源には、二人のバックグラウンドであるデンマークと日本の美学が込められています。　

デンマークでは、数十年使うこと、後世に引き継ぐことを前提に家具を選ぶとききます。綺麗な状態を保つというよりは、「永く使っていくのだから傷や経年変化は当たり前。良質な自然素材で作られた家具の傷みは、みすぼらしいものではなく、大切に使い込むことによってできる味わい」と捉えられ、傷みをどのように活かしていくか、手入れしていくかを考えます。

そんなデンマークでの木製家具仕上げの主流の一つに、ソープフィニッシュがあります。石鹸を用いて洗い、汚れを落とし、乾いた際に残った成分が木材を保護するというもの。さらりとした質感でオイルやワックスと比べても、白い色味の木材を活かす仕上げです。

日本では現在、長くといっても数年使って劣化したら買い替える、というような考え方が浸透してきているようにも感じられます。

永く使うことを想定して家具を検討する人からも、新品同様の美しい状態を保ち続けたいというような思いが感じ取れ、汚れの防止やお手入れの頻度が少ないウレタン塗装等の塗膜系塗装が広く望まれています。

当初、Hirata Gen Collectionの仕上げはソープフィニッシュで進められていましたが、美しい状態を使い続けたいという日本人の家具への価値観も含みながら、水性ウレタン塗装が選択されました。アッシュの色味を活かすナチュラルホワイト塗装は、家具を保護しながらも、触れると杢質感が感じ取れるような仕上がりです。また、揮発性物質の含有量が少なく環境にも配した水性塗料を用い、コンセプトを形にしています。